生まれて初めて推しを見に国内遠征をした話(前編)

梅芸

どもどもケイです。初めて、推しを見に国内遠征したのでその記録を残しておきたい。今年1番の楽しい思い出の一つとなりそうだったので、粗々だけども書いておきたい。

お前の行動は推しているというわけはない、推し活動には甘っちょろいという意見もあると思うのだが、便宜上その俳優については推しと呼ばせてもらう。

推しより作品派だったけどもハマった推し

そもそも私は舞台が好きだが、俳優を応援するというよりは、演出であったりストーリーであったり、作品のコンセプトがハマるかどうかというところが好みの大半を占めており、役者にはあまり興味が無かった。この人好みの演技だなぁ、というのはあるが、板の上での振舞い以外まで追ってなかったのだ。

しかしである。忘れもしない2016年の冬のある日、推しに出会った。出会いは入手困難なはずのその舞台。職場の知り合いに、なぜか前から2列目のゴールドチケットをもらったことから始まる。

前から2列目、SSと呼ばれるその席を聞いてピンとくる人もいるだろう。そう、ファンサである。目線がもらえる、それがSSの席。舞台は後半に差し掛かり、手前に出てきて並んで歌う出演者たち、そして、その瞬間が訪れた。

ーー目が合った。

心臓が止まるかと思った。息を呑んだ数秒後に、ゼエゼエと呼吸しながら思った。

ーー人は恋に落ちることがある。

その後のことはよく覚えていないが、ずっと目が合った(主観)その人に釘付けだった。なんとなく顔が小さいな、程度の認識だったのに、名前すらわからなかったはずなのに、翌日には名前や来し方行く末や、果ては画像検索もして様々な写真を収集してフォルダが画像でいっぱいになった。

あんな美しい人がいるのだと思った。その頃、私は人生をちょっぴり失敗してしまい、大変意気消沈していた。自分自身に全く自信が持てず、なんだか真っ黒に塗りつぶされたような日々の中で、その出会いはまばゆく輝いていた。
舞台上の姿が輝いていて、公私共に努力の賜物であることが伝わってきて、こんなにキラキラした人がいるのだから、生きていくことはきっと楽しいのに違いない!と思うような、そんな励ましをもらった。

ヌルヌルと沼へ転落

そこからはゆるく活動を追い、推しがメインになり始めてからはライブビューイングに通い、気に入った公演だけDVDを買い、配信の曲を買い、とゆるく茶の間を続けていた。その間、買ったグッズはカレンダーぐらいだったが、俳優にフォーカスしない、アイドルにもハマったことが無い観劇人生で役者のカレンダーをリビングに飾るのは、中々の刺激だった。
みんなこんなイケナイ的なことをして、楽しんでいるのか(全然いけなくはない。

そしてその間に、推しが所属するチームにも愛着を持つようになり、推し以外にも応援する役者ができ、とゆるゆると沼にハマって行った。チームや運営母体や作品に、色々気になることがあって大っぴらに推すのはなぁと思いながらも段々増えていく支出よ。

そしてなんとなく気になるはずだったのに、いつの間にやら推し活動っぽくなってしまっている我よ。そうか、推しは名詞じゃなくて、推すっていう動詞なんだなと思った。推そうと思って推すわけではなく、いつの間にかなっているステータス(異常)なのだ。という人生の学びを得た。

大阪遠征に至る経緯をさくっと書くつもりだったのに、なんかすごく長くなってしまった。。。

長くなりついでに1つだけ、その頃長くアイドルを推している友人から、「彼らは絶対かっこよくて、絶対私たちを愛してくれるから。ハマらない訳はない。」という格言をもらった。絶対私たちを愛してくれるからーー世界観がすごい。

推しは推せる時に推す

そんな推しが主演を演じるようになった。主演を演じると見えてくるのは引退の時期で、ふと気づいた。推しの全力パフォーマンスを何度見ることができるのか。

はっと気がついたので、重い腰を上げて現場に行かねばと思った。いや、ほんとチケット取れないんだよ。

2021年夏の陣の涙

そこで、2021年春、手当たり次第申し込んで、ついに!前から2列目のチケットを入手した!!推しに会える!!そしてこれは推しの主演デビュー公演!!!やったぁ!!やったぞ!!大阪行くぞ!!!

そしてーーーコロナである。

2021年夏、コロナが大流行していた。そして同時にわかったことーー妊娠である。安定期も前の時期で、コロナにかかっても一切薬を使うことができない。

新幹線乗って?劇場に行って? お腹の命を犠牲にして?ーー無理。コロナ感染リスクは極力避けねばならなかった。前から2番目のチケットと、大阪行きを諦めることにした。

泣いた。父を見送った時以来の大号泣である。リビングでボロボロと涙を流す私。

夫が言った。夫は私の戦いの一部始終(ずっと妻が申し込みをしている)を見ていた。「泣いてもしょうがないんだよ。その涙は、君が今まで推してきた年月分の涙なんだから。しかも頑張って取った前から2列目だから、悲しくて当たり前だよ。」こんな優しい言葉あるか?!そうです。今まで推してきた年月の涙なんだよ〜。余計泣けてきた。

そして夫は続ける。「あっし(彼の一人称)も、ラブライブ!のコンサートで、前から2列目のチケットが取れたことがある。2枚とれて、他の人をさそって一緒に行ったのだけど、本当にすごくて。これ以上の思いできないと思って、それ以来現場に行くのやめた。」
「なんて?」
2列目にあまりに感動したから、これを最後にしようと思って、そこからはコンサートじゃなくてライブビューイングだけに行くようになった。だからその席どれくらい行きたかったか、わかるよ」
「ライブビューイングだけに行くことにした」
謎の2列目の操を捧げるラブライバーの話に、涙も止まった。つづ井さんで見た、感動のあまり担降りする話の類型のような、本当にそういう人おるんや!という気持ちになった。

そして、2022年のリベンジマッチ!!夏の公演のチケットをとっていざ参戦!!無事母子ともに健康で赤子が生まれ、昨年の涙を見ている夫は赤子の世話を買って出てくれた。

思ったより長くなってしまったので、後編へ続く。遠征の話なのにまだ出発していない。