気乗りしなかったのだが、それでも観る価値すごい…と思わせる圧倒的な実力。
プライマ・フェイシイの制作陣の作品だな…と初手から思いつつ(この一瞬で制作陣が同じだと思わせる作品作りもすごいと思う)、プライマ・フェイシイのシリーズよりもよりボーイズクラブの闇というか、キャリア女性の家庭での振る舞いの矛盾というか、むしろこちらの作品の方が性暴力の惨さを描いているのではと思った。
今回は一人芝居でないことを十二分に生かしていて、ラスト、子供の手を引いて、友人のグレースのオフィスを訪ねたりしている主人公ジェシカが、最後の最後に尋ねてきた息子に向き合う瞬間に、彼の手を離す。
可愛い息子を重ねずに、1人の人間として息子に向き合い、初めてどうしたいか?を問う展開になるのだが、この小さい子供を手放す瞬間に涙が出た。
その前に息子が自首したいと言うシーンで、良かったね、正しくありなさいという子育て成功だねと胸が熱くなったのだが、その瞬間にワーワーと讃美歌のような音が鳴ってちょっとくどいような…
フェミニストを標榜して人生をかけて戦ってきた彼女の育てた息子が、女性を貶めた過ちを正そうとしている…というのを福音として描きたいのだと思うけど、ちょっと非現実的な展開だな?というのをあえて劇画的に表現するようなところなのかな、と思った。
綿密な取材が伝わってくる
その他にも、外で強くなりすぎちゃって外をそのまま解き放って家で過ごすと浮いちゃったり(カラオケから帰った足で息子にズバズバ女性関係聞いちゃう感じとか)、夫よりも出世が早い分家庭では立ててたり、夫が憔悴して折れて泣いてしまったり。
ありそー!!!的なエピソードの詰め込まれ方をしていて、プライマ・フェイシイより等身大な気がした。
その分小さいハリーを探すエピソードが繰り返されたり、上手い感じにはまとまっているのだろうけど、技巧的な印象も強かった。
ただこのシーンを描いたのは、被害者が立証せねばならない現在の司法制度の矛盾(プライマ・フェイシイでも描かれていたところ)そして戦いながらする子育てや夫への働きかけがいつか結実するという希望を描きたかったのだと感じたので、肯定的には受け取った。
今回の法廷はバンドステージ
今回は法廷はバンドのステージになっていて、上手くいかない日はマイクが何度直しても下がっちゃったり。
それにしても着替えや、料理などのアイテム、小さいハリーを模した上着を掴んでは引き出しに入れたり、恐ろしいほどの細かな手順の積み重ねで作られた舞台だった。
休憩なし2時間を演じ切る体力は元より集中力よ…
夫とのシーン必要だったかな?と思ったけど、劇評を読んで妻というか女の役割を果たしている(そして途中で色々思い出して気乗りしなくなったけど果てたフリをして終わらせる)というのを意図的に入れたのだなと気づいた。
2作品ともお見事だし、今回の作品もとても面白かったのだが、主人公たちがあまりにスーパーウーマンなのでもう少し庶民派女性を描いて欲しいとは思った。
それともかの国の方が先に行っているからかな。
ふと思い出してみて、追記
以下は、なんとなく作品を思い返してみての追記です。
インターエイリアは、公園のシーンとかまんま自分を見ているようで、こう、慣れ親しんだ多タスク感(どれもイマイチ)…という奇妙な感じだった。
400万倍くらい美化してて、主人公もスーパーキャリア、圧倒的美人&洗練、こなしているタスクも高難度、家事や女、息抜きもパワフル…ではあるのだけども。
それこそ路地の空き缶と有名花屋の花束くらいの違いを感じるが、こう…作品として板の上に載せる以上はここまで整形する必要があるのかは置いておいて、相変わらずお見事だなあ、と思いつつ、周囲からイマイチな人と見られる惨めさが主人公に足りない気もした。
なんかこう自己肯定感が高そうなのはお国柄なのかな…


