ブロードウェイミュージカル「Falsettos」@Broadway HD

falsettos

どもどもケイです。1年以上前におすすめしてもらってからやっと見たぜ!ファルセットズ!感想を残しておきたい。

ブロードウェイミュージカルの有料配信「Broadway HD」で視聴した。
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ファルセットズ

Dear Evan Hansenがトニー賞を受賞した、2017年のトニー賞受賞式でアンドリュー・ラネルズが圧倒的な飛躍(物理)を見せていたパフォーマンスが記憶に残っている。
(当時、チャーリーとチョコレート工場に出演中のクリスチャン・ボールもスキンヘットなはずなので、カツラの固定具合も気になるところである。)


リバイバル作品賞、主演男優賞にクリスチャン・ボール、助演男優賞にアンドリュー・ラネルズとブランドン・ウラノヴィッツ、助演女優賞にステファニー・J・ブロックと4部門5ノミネートされていたが賞は取り逃がしている模様。

ゲイ男性の妻子と恋人をめぐるあれこれ

ストーリー自体は直球で、妻子持ちでありながら彼氏と駆け落ちした父親を中心に、父の恋人、息子、母親、再婚相手(担当していた精神科医)、ご近所のレズビアンカップルの人間模様を描く。
時代は1970年代で、まだセクシャルマイノリティが認知されていなかった頃の話なので、父と同じようになってしまうのでは?と恐る息子のソロナンバーがあったり、ホモセクシュアルを連呼する歌があったり・・・

このちょっと後にエンジェル・イン・アメリカ、RENTと時代が続いていくんだな。

ほぼ台詞はほとんどなく、歌のみで構成されているミュージカルなのだが、舞台セットはブロックを組み合わせるのみのシンプルさで、関係性を丁寧に描いていくので演劇の後味に近いものがあった。

っていうかとても好きな感じだった。

芸達者なスターたちの殴り合い

人間模様を高クオリティの役者で描くという、贅沢な舞台だった。最高級のお肉を塩だけで召し上がれ、みたいな。

感情を吐露するゆったりしたナンバーなども各人の歌技術が凄いので、耳が幸せで退屈しない。変拍子だったりホイホイ変調したり、結構歌が難しいのだが、易々と楽しそうに歌うのだ。

そしてイロモノキャラが登場する作品なのだが、それぞれのオーラというかキャラを超える個性のようなものがドドンと見ている方まで届いて、濃〜いキャラたちに説得力を感じてつい見てしまうのだ。

特にステファニー・J・ブロックの包丁を振り回して取り乱すナンバーが好きだった。なんであんなにコミカルに動きながら歌唱がブレないのだ。

ハードな話をコメディにする

お父さんが恋人(男性)と出て行ってしまった、お母さんは担当精神科医(この人もちょっとアレな性格)に夢中、自分も友達はいない・・・と中々ハードな状況の少年がクローズアップされるのだけど、歌は全部笑えるという。

曲調が明るいのと、振り付けがコミカルなのと(ブックオブモルモンとかもそうだが、くそダサ振り付け好きなんだよなぁ)、周囲のヤキモキする姿とぼんやり少年のギャップが組み合わさって全然深刻に感じないのだ。

作品をラストまで見ていくと、セクシャルマイノリティだとしても、マジョリティの人と同じように人生に山あり谷ありがあり、コミュニティに支えられながら生きていくというのがスッと入ってくるようになっている。

そこまで楽しいが全面に出ていた舞台だっただけに、ラスト主人公が泣いたままで悲しいままで終わる部分はグッと胸に刺さった。
ラストは、またトニー賞のパフォーマンスのように盛り上がって終わるのかと思ったからだ。作品自体が飾らない、気取らないミュージカルだったこともあって、エイズだったり滲み出てくる生きづらさだったりが、再度苦く残るような感じだった。

辛いことをコミカルに描くのがいいのか?という話はあると思うのだけど、大変好きなテイストだった。

関係ないが、同じ配信動画サイトの「Daddy Long Legs」は、あしながおじさんを元にした2人ミュージカル。
曲よしキャストよし、両片思いのラブストーリーが本当ツボなので何度も見直している。
日本だと、井上芳雄・坂本真綾ペアで何回か再演されている。

2017年のニューヨーク現地で観た作品たちはこちら