主人公が芸術世界に殴り込みをかけるマンガ2選

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どもどもケイです。最近読んだマンガが面白かったので、紹介したい。ちょっとネタバレはあります。

ブルー・ピリオド

講談社月刊アフタヌーンにて2017年から連載されている漫画。作者は山口つばさ。2020年7月現在全7巻(連載中)。

ブルーピリオド(1) (アフタヌーンコミックス)

あらすじ
絵を描くことの楽しさに目覚めた主人公を中心に、美術大学受験予備校や入学試験での苦悩が描かれる青春群像劇。(wikiより)

美大受験がテーマ

不良だけど周囲を気にしすぎてしまう高校生が、絵で自己表現をして理解してもらう喜びに気がついて、受験に向けて技術を習得していく話だ。

主人公が優等生で努力家、結果を出し続けているのにも関わらず、どこか自信が無いという、美術がテーマならではのキャラ設定。

センスの塊のようなライバルに出会った時の萎縮してしまう反応など、この心の弱い主人公のストーリー、ツボなんだよねぇ・・・

主人公矢口は、この心の弱さからくる自信のなさをもとに、努力の修羅になっていて、自分自身の個性の先に表現できるものがあるという芸術の世界を体現したストーリー展開もまた胸アツなのだ。

好きな物を好きと言い切る力

ブルー・ピリオドの物語に一貫してあるのが、好きな物事を極める努力をするということ。

主人公の友人たちも、自分のキャラに合わなかろうが、家庭環境が壊れていようが、自分の好きな物を諦めないで、向き合って飛び込んでいく。すごく励まされる。

圧倒的な背景知識

先ほど紹介したアクタージュと異なり、美術、特に油絵の修練方法や、構図の考え方、テーマへの向かい方、美大の受験内容、受験のための予備校の内容などの背景知識がてんこ盛りに出てくる。

読んでいると美術鑑賞の知識も増えるのでとても興味深かった。特にテーマを解釈して、作家本人が何を表現するのかという事例がたくさん出てくるので、これで・・・美術鑑賞も・・・捗るかもしれない・・・(興味はあるが結局美術館まで手が回らない人。

作中作は全て実際の作品

主人公たちが描く作品は全て作家や美大生、予備校生が描いている。巻によっては、10点以上におよぶ。
出費もかかるだろうし、話の構成も事前に周知して依頼しなきゃならないだろうし、その手間を想像すると頭が下がる思いがする。

実際の美術作品がマンガに登場するのが、このブルーピリオドの1番の強みになっていると思った。

最新刊7巻は、主人公が大学生になってからのストーリーで、相変わらず周囲の才能に圧倒されるところからスタートなので、より様々な作品が登場しそうで楽しみである。

絢爛たるグランドセーヌ

秋田書店の月刊誌チャンピオンREDにて2013年から連載されているバレエ漫画。連載中全15巻。作者はCuvie。
Twitterとかで、折々に推しているが、やっぱりここでも紹介しておきたい

絢爛たるグランドセーヌ 1 (チャンピオンREDコミックス)

あらすじ
優れた観察眼を持つ小学生の少女 有谷奏は、隣家に住んでいる年上の少女・梨沙の影響でクラシックバレエに強い憧れを抱き、かつてフランスでプロ活動をしていた滝本伸子のバレエスタジオに通いはじめる。(wikiより)

リアリティあるバレエマンガ

ルックス、体型、運動神経、音感、そしてスター性など幾重にも才能に恵まれたトップレベルが人生をかけて修練したダンスを見せてくれる舞台芸術バレエ。

お金もかかり、コネクションも、運も、本人のメンタルの強さも重要という厳しい世界が、(マンガとしては)リアリティをもって描かれている

その分、いきなり主役に抜擢されたり、短期修行で圧倒的なレベルアップを見せたり、衣装にうっとりしたり、恋愛パートがあったり・・・のような少女・少年マンガ的な展開は薄めなので、好みが別れる作品だと思う。

多分ある程度バレエに馴染みがある人の方が、作者のこだわりを読み取りやすいと感じる。

あなたのバレエ知識はどこから?

私は絢爛たるグランドセーヌから!ということで、コンクールってこういう取り組みなか〜〜!!とか、バリエーションってそうアプローチしていくのか!!パドトゥの練習って、そういう感じなのか〜〜!!
と、毎巻毎巻発見があって楽しい

特にユース・アメリカ・グランプリ編は、作者が実際に現地に取材に行っていたこともあり、ドキュメンタリーのような読み応えになっている。

作中に出てくる作品や各ステップなどの用語がわかると、さらに魅力が味わえるのでオススメの鑑賞方法は、絢爛たるグランドセーヌを読んだ後でYoutubeで関連作品や実際のコンクールの動画を見て、またマンガを読むことだ(スルメみたいな味わい方。

アンデオールを描く画力

作者CuvieがR18作品を描くこともあり、特に身体の描き方が面白い作品
バレエダンサー特有の背骨のS字カーブを引き延ばし、両肩と骨盤の4角形が整った平たい体型が、絵からも読み取れる程こだわって描かれている。

本人も後書きでアンデオール(足や腕の外旋)を描くのを気をつけているとコメントを書いているが、絢爛たるグランドセーヌを読み慣れてから、他のバレエダンサーのイラストやマンガのシーンを見ると物足りない思いがする時がある。

新型コロナにより作者のロイヤルバレエへの取材が中止になったり、そもそも新型コロナが出てこない舞台についての創作は、フィクションになってしまう状態になっていると思う。

過去のこととして扱うのか、どこかで疫病の流行を出すのか・・・事実は小説よりも奇なり・・・。

ブルーピリオドは今週中に一気読みしたので、来月のカード請求が不味い気がするのだが、大人買いできるのが大人の強みだなぁと常々思うので、これからもマンガを読んでいきたい(反省の色なし。