【ロンドン11】ハリー・ポッターと呪いの子

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イギリス旅行観劇記録も9本中7・8本目!

この旅の目的の一つである、ハリー・ポッターと呪いの子の感想をお伝えしたい。ついにホリプロによる日本版のトランスファーも発表されて、盛り上がっている。

2020年元旦からハリー・ポッターと呪いの子を観に行った。人気公演のチケットということで、ネットで半年前に予約。ローレンス・オリヴィエ賞9冠、トニー賞6冠の舞台だよ!

予習しない方が良い

日本語訳の脚本が発売されているが、もしこれから観る機会があるなら、一切予習をせずに観ることをオススメする。

ストーリーは分かりやすかったので、英語が分からなくてもギリギリどうにかなるはず
ただ、起こっていることはややこしいので、演出や演技に集中したい自分としては脚本を読んでいてよかった(行きの飛行機で予習した。

脚本未読で観る→ 脚本を読む →もう一度見る

がベストなのだけど、7時間半もある作品をそうそう何度も観られないしな。そういう意味で母国語公演は素晴らしいよね。日本語版を観るなら400%予習はしないでほしい。

以下ネタバレがあります!
舞台装置や演出に関するネタバレがあります。

公式が情報公開を最小限にしているネタバレ配慮がある作品なので、ブログならギリギリ大丈夫かと思うので、核心を突かない範囲で感想を残しておきたい。

去年末に更新されたオフィシャルトレイラー。

オフィシャルトレイラーを撮影する裏側も公開されている。今までの情報統制具合からいくと、かなり大胆な情報出しですな。。。

完全な演劇作品

日本語版脚本のト書きが、とにかくネタバレまくりなので。

日本の2.5次元歌舞伎や、ウィキッドのような派手さがある装置を(勝手に)思い描いていたのだが、もっともっと演劇的な作品だった。
シェークスピアの国の矜持というか、舞台装置は簡素で、プロジェクションマッピングなどの禁じ手も自然な範囲でしか使っていない。

引き算の舞台づくり

炎や仕掛けなども実物にこだわり、セットは最小限。舞台転換もマントを羽織ったキャストによる見せ転換、魔法の戦いもあくまで人の手で…と、あくまで会話とストーリーに重きを置いていた。
大ヒットは約束されているのだから、いくらでも投資は出来たと思う。

あれやこれやも、もっと巨大なセットで大掛かりにすればよかったのでは?と思うシーンもなかった訳では無い。

ただ、一方で舞台を製作するにあたり、映画と舞台の違いは何かというのを徹底的に詰めたのだという印象があった。

特殊効果を追求していくと、どうしても映画には劣る。現実世界では、空を飛ぶことができないし、大掛かりの仕掛けを急に場面転換もできないし、映像加工もない。どうしても躍動感に欠けるのだ。
おそらく作り込めば作り込むほど、映画のまがい物になってしまうのだろう。

ハリー・ポッターなのに演劇の真髄

舞台の良さは今、目の前に起こること。余白を観客の想像力で補って、登場人物と一緒の世界に入り込み、体験すること。そして観客が一体となって、役者と呼応しながら、作品を完成させること・・・。

映画と違う舞台の良さを前面に出したコンセプトを設定し、全編に忠実に取り入れた結果、ハリー・ポッターなんだけど、これってストプレじゃん!
何だったら、演劇の良さを濃縮したような!え、イギリスのストレートパンチじゃん!萌!

という、すごく鼻血が出るような喜びを感じた。ハリー・ポッターなのだけど、伝統的な演劇だし、生演劇の良さが120%という不思議な味わいなのだ。

派手で魔法だ〜!という思い描いていた期待はなかったが、ハリー・ポッターの演劇を見た!という確固たる感想を抱ける。

魔法は想像力の中にある

あと、シンプルなこの舞台が発している一番のメッセージが、イマジネーションこそ魔法そのものだというものだ。

観客の想像力を大いに引き出す演出は、魔法が私たち自身の中にあることを全肯定してくれるものだし、ホグワーツからの手紙を待っている魔法使いになりたくてなれなかった●才としては、魔法は自分で描くものなんや・・・

あとは、シンプルセットの方が輸出しやすいし、ハリー・ポッターである以上足しきるか、引き切るかしかないので、まぁそっちの戦略が妥当ですよね・・・とか巧みさも感じつつ。

シンプル、シンプルとディスっているけど、それでも凄まじくお金はかかっているし、様々工夫が楽しかった。
装置・音響・照明スタッフはキャストよりもしかしたら大変なのではと思った。裏方技術の総結集とも言える作品だと思う。

あとは、日本版のプロモーションを、豪華セットの魔法の国!とか、総制作費●億円!!とか、あんな魔法やこんな魔法も舞台の上で再現できちゃう!!!とか、あなたも魔法の世界を味わおう!!!!とか、ミスリードにならないことだけを祈っている。

この作品の見どころは、魔法にプラスしたストーリーと役者の技量なので。

巧みなストーリー

話の如才なさも改めて感じた。
人生をやり直したらどうするのか?というシンプルな問いに対して、今のままの自分で最高を求めるしかないという結論にたどり着くところ。

これジュブナイル小説や異世界漂流譚の基本中の基本のテーマなので、異世界漂流譚の代表作であるハリー・ポッターでこのテーマなのが激しく鼻血。

あと、ハリーの息子のアルバス、ドラコのスコーピオというダブル主人公なところ。人生をやり直したらどうするのか?という世界は、主人公のアルバスだけでなく、スコーピオも同じように違う世界が登場する。

印象的だったのは、脚本で読んでいた時よりもずっと各キャラが粒立って見えたところだ。キャストの技量によるところが大きいのだろう。

各シナリオのハーマイオニーの面白さ

学生の時はハーマイオニーが好きでレイブンクローに入りたかったものであるが、話を明るくして皆の優しさを引き出しているのは、ロンやハグリットだし、今や入りたい寮はハップルパフである。というのを再認識した、作品だった。

ロンと結婚しない世界線のハーマイオニーは支配的だったり、革命家だったり極端になってしまっているのが面白かった。ハーマイオニーが生きていく上で、ロンがいかに豊かな世界をもたらしているのかが感じ取れる。

スコーピオ

印象的だったのは全編にわたって、スコーピオがなよなよとしているところ。彼は博識で、優しくて、自分が君臨するよりも大切な親友を選ぶ魅力的なキャラクターだ。でも同時に、自信がなくて、物語に巻き込まれていく・・・。

権力よりも愛情を選ぶスコーピオが、最後までナヨっとしているところがとても良いなぁと思った。彼が勇気を持って威風堂々としたキャラに変わるのではなく、ストーリーを通じてスコーピオの素晴らしさに我々が気づくのだ。

主役のアルバスは、割と父との関係など、成長するのだが、このバランスがとても胸を掴まれた(当日の長い感想メモは半分くらいスコーピオだった人。

長くなってしまったが、日本版必ず見にいくぜ!この辺で!