【ロンドン6】ミュージカル「Matilda」

Matilda

どもどもケイです。ロンドン旅行記の観劇編をお送りする。2019/12/28に無事、ナショナルシアターデビューを果たし、翌日12/29はミュージカル「マチルダ」!心に迫る優しさに溢れた作品だった。

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ブロードウェイに行った時に観る機会を逃したっきり縁がなかったマチルダだが、ツイッターで背中を押してもらい観劇。本当に胸に残る作品だった。

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親子連れ around me

日曜日昼回だったからなのか、前後左右斜向かいすべてが親子連れだった。小学生ぐらいの小さなお子さんも多くて、オセロなら私も即座に親子連れになっているのでは…と遠い目をしていた。
子供達と見るのは楽しく、クスクス笑ったり、naughtyでマチルダと一緒に歌ったり、怖いシーンでは親に抱きついていたり、とても微笑ましかった。

積み木ブロックセットは子供達を魅了

マチルダといえば、色とりどりのアルファベットが書かれた積み木の舞台セット。この舞台セットも、始まるまでたくさんの子供達が指さしてお父さんやお母さんと楽しそうに話していたのが印象的だった。
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大人から見るとお話の世界と現実の境目を無くす演出なのだなぁと小難しく考えてしまうが、それだけでなく子供達が開始まで退屈しないように、楽しい気持ちになるように積み木や文字並べが用意されているのだ。

優しい空間

マチルダ自身が自分の力で人生を切り開く子供なので、それを見まもる親、人生の可能性をメッセージングする舞台と、なんて優しい空間なのだろうと思った。(そして、それを大人として見ている自分はどのポジションに自分を置けばいいのだろうとも若干思った。)

この日のマチルダ役はZoe Simon。最初から最後まで表情をピクリとも変えないクールマチルダだった。歌もお上手だし、長ゼリフや、劇中ストーリーもさすが!
そして大人たちはアンサンブル一人一人まで、歌にダンスにどストレートのパンチ級。ロンドン旅1本目のミュージカルだったため、これこれぇー!と興奮せずにはいられなかった。層の厚みから来る演者のレベルの高さが海外舞台の虜になってしまう一因なのだ。

When I Grow Up

単体のサントラ聴いていた時にもいい歌だなぁ・・・とは思っていたのだが。マチルダのNaughtyが思いの外、胸を打ちうるうるしていた。
そこにWhen I Grow Upである。

な、泣いてまうやろー!!!

尊さやノスタルジーやらでびょーびょーと泣いてしまった。光り輝く公園でブランコに乗って、子供達が大きくなったら〜と歌ってくれるのだが、その純粋無垢さが眩しい。
マチルダもそうなのだが、実際の子供達が演じてくれる尊さ、彼ら彼女らが希望を歌うことのかけがえのなさがとにかく胸を打つのだ。

そしてその後に出てくる大人アンサンブルたちの力強さに加えて、ミスハニーの切ないWhen I Grow Upが。せ、せつねぇ〜。

人生を生きていく寂しさ、のようなものを優しく包んでくれる曲だった。

Evoluting Children最高!

2013年トニー賞のパフォーマンスは何十回と言わず再生してみていたのだが、ストーリーを通してこのシーンを観ると、これもあまりの興奮でテンションマックス。
直前の子供達が間違えた綴りを次々に叫ぶあたりで、もうもうもう・・・となるのだけどそこからさらにクライマックスに。


当たり前なのだけど、(椅子が途中で片付けられてしまうことを除いて)トニー賞の振り付けと一緒。最後の決めポーズまで一緒なので、ここでふとそうか彼ら・彼女らは役なんだよなと我に返った。子役といっても、心技体のなんと巧みなことよ・・・。

舞台袖にはける時とかに、さりげなく大人のアンサンブルさんたちが子供たちを先に通してあげたり、装置に当たらないように誘導していたり、それがまた尊い。

盛りだくさんの仕掛け

舞台装置や小道具、衣装などとにかく次から次へものが登場して、役者さん大変じゃね!?と思った。子供達が飽きないように、というのもあるだろうが、机などのセットの昇降も多くて、一歩間違うとめちゃめちゃ危ない舞台だと思った。
前日の演劇でも思ったし、次のハリー・ポッターでも思ったのだが、細かく舞台を作り込んでいく手法なのがジワジワと伝わってきて、これは癖になるなと思った。
ワークショップやトライアルを経て年単位でプロダクションを成熟させないと作り込みはできないし、意外にそれは観客として読み取れるのだなと思った。

トランチブル最高な件

新体操したり、生徒を投げ飛ばしたり。怖いけど、どこかコミカルなトランチブルはこのミュージカルの功労者的な役割。
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オペラの授業で、オペラ「ヘンゼルとグレーテル」の魔女など、人外の女性を男性が演じるのが古典のセオリーと習ったけど、まさにこれに則った演出なのだなと思う。

女性エンパワメント

トランチブルについてはもう側面、名誉男性としての女性を表現していると受け取ると面白かった。名誉男性としてほぼ男性として適用したトランチブル、ミスハニーは従属的な女性像、マチルダは知恵と誇りで道を切り開く現代の女性像。
秀でていてもガールというだけで爪弾きにされる主人公が、自分を貫き通して周囲をエンパワメントする。世代を超えて、自立を模索する女性の物語としても感じることができたので、この辺が単に幼い子供の話にならない魅力なのだなぁと感じた。

クラスメイトたちのキャラ立ちや、アルファベットの歌になっている「スクールソング」シーンのかっこよさなどまだまだ感想があるがこの辺で!

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