ドキュメンタリー「バスタブとブロードウェイ もう一つのミュージカルの世界」@Netflix

note

どもどもケイです。おススメされて、良質のドキュメンタリーを観ることができたので簡単に感想を残しておきたい。

ある日企業ミュージカルに魅せられた主人公は、レコードを集め始めて…というストーリーだが、「ブロードウェイ50年代、60年代の知られざる企業ミュージカルの世界をご紹介!〜オタクの祈りは神(推し)に通じる〜」という映画のようだった。
(1956年マイフェアレディ初演の予算が44万6000ドルの時代に、シボレーのショーは300万ドルだったそうな。)

良質なドキュメンタリーだし、ミュージカルが好きなら見て損は無い作品だと思った。ネットフリックス公開は2022/4/19まで。

Bathtubs Over Broadway
Bathtubs Over Broadway is a 2018 American documentary film directed by Dava Whisenant. Comedy writer Steve Young’s assignment to scour bargain-bin vinyl for a late-night segment becomes an unexpected, decades-spanning obsession when he stumbles upon the strange and hilarious world of industrial musicals. The film premiered at the 2018 Tribeca Film Festival and was released on November 30, 2018 by Focus World.

豪華なオープニング!!そしてエンディング!!

まずオリジナルアニメーションと曲のオープニングにびっくり。

「なんで、こんなに凝ったミュージカル風なの?」と思うが、どうしてこのオープニングなのかは最後まで通しで観ると分かる。

「なんで、こんなに凝ったミュージカル風なの?」の面白さが、このドキュメンタリーのテーマであり、主人公ヤング氏の原動力だからだ。

エンディングのオリジナルミュージカル含めて、番組作りにあたり彼の愛への最大リスペクトが払われていて、面白い演出だなと思った。

バスタブって?

タイトルにもなっているバスタブとブロードウェイ(Bathtubs Over Broadway)は、ブロードウェイと銃弾(Bullets Over Broadway)を文字ったものだというのがTwitterフォロイーの指摘だった。

バスタブは、後半に出てくるバスルームの歌にかけているものと思われる。オンブロードウェイ作品では銃弾が、そして企業ミュージカルではバスタブが飛び交っているのだ

アメリカンミュージカルの知られざる歴史を描くので舞台裏ものであるブロードウェイと銃弾を引用しつつ、得物がバスタブというファニーさが愛おしい。オープニングに加えて、タイトルがまた洒落ていると思う。

ヤング氏の涙

「It’s a thrill to be on a piece of music paper where it’s his name and my name. That’s, uh, worth a stack of records to the moon.」

(1995年のテレビで企業ミュージカルを見るまで名前も知らなかった作曲家が、活動を進める中で推しになり、今や一緒に作曲をしている)とてもワクワクすることで、月まで届くレコードを集めた努力が報われました、という涙ながらにヤング氏が語るインタビューが最後にある。

ここがジーンと来るのだ。ヤング氏の涙は、推しが中の人と思いが通じ合った涙である。

もちろんヤング氏も只者では無く、恐ろしい収集能力とコミュニケーション能力、行動力の塊なのであるけど・・・。

ミュージカルはアメリカのアートだ

ミュージカルはアメリカのアート形式だ、オペラはヨーロッパだけどミュージカルはアメリカのものだ、という途中のコメントに改めてハッとした。そもそものブロードウェイの層の厚さには、日々驚愕しているところだ。しかし、この企業ミュージカルを見ているとオンブロードウェイは氷山の一角で、歴史的な経緯も含めた裾野と資金の膨大さを改めて実感した。

生活の糧

企業ミュージカルで活躍しつつも、商業ミュージカルではデビューできなかった俳優が改めて生き生きと歌を歌っている姿に胸を打たれた。名もなきサラリーマンとして日々を生きているものとしては、でも生活はできた、という彼らのコメントはずっしり来た。

著名人も手がけている企業ミュージカル

今回のドキュメンタリーの趣旨に反するが、途中出てきた人物たちの自分用メモ。

Sheldon Harnick and Jerry Bock (Fiddler on the Roof)
John Kander and Fred Ebb (Cabaret, Chicago)
Bob Fosse
Bob Newhart
Chita Rivera
Florence Henderson
Martin Short
Susan Stroman
Hal Linden