Dear Evan Hansenと並んでここ数年で好きな作品の1つであり、アンコールの度に足を運んで今回が3度目となる。
権利が切れる関係で、日本のナショナル・シアター・ライブでの今後の上演は未定とのことだったので、見納めに行ってきた。
初回の感想は今見返すと、結構ピュアな感じだったので2018年当時から自分も色々考えるようになったんだなぁと思った。
ここまで手放しで感動!とならなかったのが、今回の観劇だった。
https://twitter.com/ntlivejapan/status/1474209426165080069?s=21
https://twitter.com/ntlivejapan/status/1474541923046404096?s=21
身勝手なクリストフ
過去の観劇と異なり両親側への感情移入が強かったというか、父の忍耐強さと、母の辛さと、加えて、クリストフの身勝手さが目に付く観劇となった。
彼は生活のことなどを全然考えない上に、着替えなど世話されるのが当たり前の描写があり、実際に彼を育てていくのは困難を極めるだろうなぁと思ったのだった。
暴力が爆発する父、家族から逃げ出した母、と両親も人間味があって辛い。
その上で、どこかキャラクター掘り下げが曖昧なのは、あくまでクリストフの主観に基づいたストーリーなのだとする、劇中劇の入れ子構造の距離感がほんと絶妙だなと思った。
こんなに綺麗な性格の両親ではないと思うのだが、クリストフ視点でいい感じに漂白されて、最終いい話にまとまっていくというか・・・。
それでも生きていっていい
とはいえ、ラストは相変わらず涙が出た。
クリストフは日常生活を送れないし、生きていく上で支援が不可欠だ。少なからず周囲の人の人生にも負担をかけているように思う。
それでも彼がその支援を当たり前のように享受して、夢を語るシーンには心を掴まれるものがある。
発達の凸凹を自覚していると、自分自身の能力ゆえに周囲に協力を得なければならなかったり、あるいは(結果としては迷惑をかけているのだが、本人としては)不本意に頭を下げたりするシーンがあると思う。
それでも一丁前に夢を語り、堂々と生きていっていいのだというメッセージに思えて、多分勇気づけられるのだ。