公開講座「舞台芸術の「契約」にまつわる連続講座2021 著作権編」@zoom

dream

先日の友人へのインタビュー以降、もし良い作品を観たいなら、舞台に関わる方の法務労務財務などの環境向上は避けては通れないのだということを痛感したため、機会があれば講座を取るようにしている。

今回は、知っているようで知らなかった著作権についてだった。

これまで見過ごされがちだった、舞台芸術の法務・労務・財務の諸問題は、コロナ禍においてより明らかになりました。
それを「契約」という⾓度でとらえ直し、持続可能な創造環境に向けてアップデートするために、専門家による全6回のオンライン講座を開催します。(公式サイトより)

EPADの裏話も聞ける!

講師の田嶋先生は「緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業(EPAD)」権利処理チーフを務めており、Youtubeの配信のための権利処理裏側も聞くことができて興味深かった。

ただいま、この無料配信を少しずつ見ている。国内の有名舞台作品が目白押し!
◆ままごと「わが星」の感想はこちら
◆白山羊の会「自己紹介読本」の感想の感想はこちら

著作権は禁止権

商標権や特許とは異なり、登録不要で著作者が独占している権利の束である著作権。
他社による「著作物」の利用を禁止できる権利ゆえ、上演にあたりこの著作者への許諾が必要になるという基本的な考え方からほぉ〜となってしまった。

舞台は著作物の集合体

舞台は、舞台作品として1つの著作物では無く、脚本や翻訳、振付、衣装デザインなどの著作物の集合体であるという考え方に立つことも今回初めて知った。

超実践的

とにかく、現場目線の講義で非常に興味深かった。

現行の日本の法制度では、演出家は著作者ではなく実演家に分類され、著作人格権を持つことになる。ただし、現場の慣例としては、演出家の許諾無しに映像化できない(事実上の著作者として扱われることが多い)という話など、制度と運用の実態の話も多かった。

許諾の取得方法まで言及

下記にも具体的に言及があり勉強になった。

・実際に上演するに当たってどういう手順で何をどう許諾を取ればいいのか?

・外国作品の翻訳上演、録画、配信をするためには、具体的に著作権で禁止されている利用方法の何の許諾が必要なのか?

・問題になりがちな、音楽についてはなんで問題になるのか?(原盤権の問題)その権利処理は?

配信に重きを置いた説明

特にコロナ以降、興行に配信がついて回るということで、配信についての明確に情報提示があって、解像度が上がったと思う。

講座では、最初から配信まで視野に入れたマルチユース契約を交わすことを推奨していた。

法律は自分の手で作るもの

また、最終、著作権に関する法制度はどうあるべきなのか?どう法改正を働きかけていくべきなのか?という議論があったのが激アツだった。

法制度の設定については、各省庁が設定する委員会での識者での議論・国民への意見募集(パブリックコメント)→ 各省庁での法内容の検討→1月からの通常国会での提出・可決→ 施工→ 委員会や省令などでの運用詳細の決定→実際の関連事業者の運用開始、という流れの理解だが、まさにこの委員会で議論されるような内容だったと感じた。

現行法案の歴史的背景(1970年制定、生放送が前提)、現状と比較した課題、現場側の契約体系でのフォロー、法律と現場慣行とのずれなど、舞台に止まらない話題だと感じた。

2022年2月末までのアーカイブ配信(各800円)なので、なんとか・・・他の講座も取れるといいのだが。。。

◆途中紹介されていた参考書
18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)