英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン「シンデレラ」@Tohoシネマズコレド室町

royalopera

どもどもケイです。2023年末までに今年見た作品の感想メモをアップロードしようキャンペーン(別名、大事なのは質より量だと自分を鼓舞するキャンペーン)2本目。
※投稿は2023年12月ですが、記事の日時は公開当時のもので投稿しています。

ダークで即物的なシンデレラ

セットや照明が暗めで曲も短調ということで、ファンタジーのシンデレラというよりも大人ビターなシンデレラだった。
シンデレラ自身も華やかだけど自己陶酔はあんませずに冷静だし、微妙にシュールな感じだった。

難しいアシュトン振付

ネラのソロや、リフトのところは事前に聞かなかったら、そーんなに難しいとは全然思わなかったと思う。易々と踊っているように見えるのは、ロイヤルのプリンシパルはいつものことなのだけども、、、

改めて観察していると一度曲に遅れると、二度とリカバリーできない振付なのだと理解した。

四季の精も含めたソリストの振付について、ジャンプや回転やステップの着地の足が、次の踏み切り足にそのままなっているパターンがめちゃめちゃ多そう。
曲のテンポも早いので一瞬でもバランスを崩したが最後、踊りが崩壊する感じでそもそもステップが難しいし、1発1発で踏み切って美しく見えるようにパワーが必要だし、気を抜けないということなのだろう。

シンデレラの回転も舞台2周していて、音聞きながら回転合わせながら、アスリート!!という感じだった。

いつも柔和な笑みのワディム王子が笑わなければならないって言ってて、夢を見せる職業なんだなと改めて思った。

いぶし銀ファンタジー

途中の姉たちのコミカルなシーン(この感想を書き出すとすごく長くなりそう)や、舞踏会を挟みつつも、最後までビターで麗しい大人味だった。

シンデレラも虐められて無いからカタルシスも無いし、家パート長めで楽しいけど地味だし、舞踏会も各人が出てきてはと踊りを披露してはけていくスタイルではないので、あれこれ見ているうちにあっという間に終わる感じだ。

全体的に楽しかったけど、分かりやすさとうっとり所にやや困るかなという印象。
踊りを観察して楽しむのはできるけど、お祭りの特別感は物足りないというか。

ゴリゴリのハッピーファンタジーはチャイコ3作品があるから、確かにレパートリーとして同じような作品をかける必要はないもんね。

踊り込みが必要なバレエ団側大変さの割に、万人受けするかと言われると微妙なテイストなので10年お蔵入りしていたのも納得だった。

今回トム・パイの舞台美術、アレクサンドラ・バーンの衣装が幻想的だけどリアルという不思議バランスですごく素敵だったので、またかかったら観に行きたいな。

ただ、すごーく好きな感じで、もう1回観られるならぜひ観たいけど、ハイライト部分の割に長尺というか。
人に激推しで勧められるかというと、多分舞台が好きなら好きだろうなと言う感想になった。

【振付】フレデリック・アシュトン
【音楽】セルゲイ・プロコフィエフ
【舞台美術】トム・パイ
【衣装デザイン】アレクサンドラ・バーン
【照明デザイン】デヴィッド・フィン
【映像デザイン】フィン・ロス
【特殊効果】クリス・フィッシャー
【振付指導】ウェンディ・エリス・サムズ
ギャリー・エイヴィス
【指揮】クン・ケッセルズ
【演奏】ロイヤル・オペラハウス管弦楽団
【出演】 シンデレラ:マリアネラ・ヌニェス
王子:ワディム・ムンタギロフ
シンデレラの義理の姉たち:アクリ瑠嘉、ギャリー・エイヴィス
シンデレラの父:ベネット・ガートサイド
仙女:金子扶生
春の精:アナ=ローズ・オサリヴァン
夏の精:メリッサ・ハミルトン
秋の精:崔由姫
冬の精:マヤラ・マグリ
道化:中尾太亮