イキウメ「人魂を届けに」@世田谷パブリックシアター

simple

どもどもケイです。2023年末までに今年見た作品の感想メモをアップロードしようキャンペーン(別名、大事なのは質より量だと自分を鼓舞するキャンペーン)の投稿です。
※投稿は2023年12月ですが、記事の日時は公開当時のもので投稿しています。

短編集に近い味わい

なんかこう、最近のイキウメはnot for meかな…?決別の日も近いのでは…?と寂しく思っていたので、コレコレ感があった。

図書館的人生でイキウメにハマった勢なので、イキウメの短編連作が好きという自分の好みを改めて自覚した。

長編だと前川さんの考えがnot for meの時があり、近年の作品はその傾向が強かった。
まだイキウメを楽しませてもらえるのだ、とすごくホッとしたような気持ちになった。

ガチ立見の人がたくさん!

本多劇場の後この公演で、チケットの売れ行きも良かった模様だった。
私もトラムシートだったが、通路にも立見の人がいて、愛に満ちていた。消防法的なモノへの配慮か、階段で観ている方々がガチの立見だったので、熱意が半端ない。

本多劇場後の知名度が上がりそうなタイミングで、この受けレンジが広そうな作品を持ってくるのはとても戦略的だ。好感が持てる(演劇のチラシなど、集客にはもっと戦略を持って欲しいといつも切に願っている)。
金輪町コレクションの時もそうだったけど、ドラマトゥルグの方の存在感は作品に透けて見えるのだなと改めて思った。

魂の値段

冒頭の魂の値段が、後半の賞金3万円のエピソードで回収されているところが印象的だった。

舞台上で群れる男性たちの違和感

ただ、舞台上で群れている男性たちは何の象徴だったのかな?とは思った。マスキュリズムでいいのかな?

いわゆる「最強の人」のような社会の理想像から落伍していき凶悪犯罪を起こすような人が透けて見えるけど、踏み込みが足りなかったように思った。
ラストに「キャッチャーになりたい」という発言が出てくるので、観ていて男性のセルフケアの重要性を伝えたかったの?とは感じた。
しかし前からだけど、この劇団の作品は女性が空気なので、舞台上で群れている男性たちが社会全体を表すとは感じ取れず、不気味な雰囲気を出したい割にはコミカルに受け取れてしまいチグハグだった。

母親の愛?

お母さんを女装男性(しかも同性愛者)にする意味についても、慎重に扱うべきテーマを取り上げたなぁという印象だった。

また、劇中で「父親は母親の代わりはできない」という発言が出てきた。脚本家自身が子供がいるので本心でそう思っているのだとは思うけど、これもん?と引っかかった。

最近、母の偉大なる愛って幻想だなぁと切に感じている。
本当に?本当に「お母さん」が必要なの?癒されるには?と気になるが、ここ掘り下げるとイキウメと決別することになりそうで怖い。

だからこそ女装を解いたし、ラストは男性自身でケアしていく!ということなのかもしれないけど、具体方法は不明すぎて(福祉や教育に根本的に手を入れないとダメなような、、、)少し説得力にかけてしまうと思った。

しかし、作品として面白いからこそ批判したくなるというところは、伝えておきたい。

几帳面?

余談だが、濱田さんが中盤畳んで積んだ毛布がキッチリカッキリすぎて目が釘付けになった。
きちっと端が揃えられ、はみ出ることなく積まれていく毛布たち。

私最近、結構シーツとか畳む機会が多いけど、1回も自然にああはならないな(大変に大雑把な性格)。

役の合間に真性の几帳面さを見た気がして、ほっこりした。