どもどもケイです。何やら寒いですね。メルカリにうつつを抜かしている間に、1か月がすぎた。観た作品がたまって来て胸がいっぱいなので、残しておきたい。
まずロイヤルバレエ「Mayerling」について。ロイヤルバレエの18/19シーズンの開幕作品だ。邦題は「うたかたの恋」。
ロマンティックで素敵なタイトルだなぁと思ったが、調べているとマイヤーリング事件をモチーフとした作品「Mayerling」を「うたかたの恋」と訳すのが通例らしい。
エリザベート然り、皇太子ルドルフ然り、ハプスブルク家の終焉と恋と死のテーマは皆の好みを直撃するんだなぁ。
Mayerling
ケネス・マクミラン振付、フランツ・リスト作曲、1978年初演のロイヤルバレエ団のレパートリーだ。今年40周年というのは、ライブビューイングでも繰り返し紹介していた。1978年だと、日本だとピンクレディーのUFOやサウスポーの時代だ。この時代にすでに退廃ロマン的な作品が上演されていたのだなぁと遠い目になった。
ライブビューイングは、スティーブン・マックレーがルドルフ役、サラ・ラムがマリー・ヴェッツェラ役だ。個人的にサラ・ラムに苦手意識があったのだが、今回それが払拭された。
少女めいたビジュアルと妖艶な魅力のアンバランスさが光っていたのと、髪を下ろした姿がキュートだったからだ。スティーブン・マックレーは身長173cmということで決して長身ではないのに、リフトリフトリフト!
観ているこっちが息を詰めて、筋肉痛になる程とっかえひっかえバレリーナを持ち上げていた。
パ・ド・ドゥのエレクトリカルパレードや
ステファニー皇太子妃との乱暴に投げるようなリフト、母エリザベートとのぎこちなくて向き合わないダンス、ラリッシュ伯爵夫人への甘えと粗雑さが同居する踊り、そして何よりマリー・ヴェッツェラとの官能と闇が入り混じるパドドゥ・・・。
セリフがないのにアテレコされているような振付だった。2人の関係性が一目でわかるし、こんなにもバレエって雄弁なんだなぁと感心した。一方で、あまりに直接的な表現なので、抽象の奥深さのようなものはないと思う。
エリザベートとの噛み合わない踊り
筆者の印象に残ったのは、母エリザベートとの踊りだ。ルドルフは必ず、背中から抱きついてリフトするし、微妙にタイミングが合わずにギクシャクした踊りが展開されていく。息ぴったりにぎこちないって、どっちなの!!(プロだよ。
絡みつくパドドゥ
そしてもう一つは、観た人の夢に出そうな率20パーセントくらいの、主役2人のパドドゥ。特にサララムが逆さになりながらマックレー兄さんの体に巻きついて下りていく振りは圧巻。ワイヤーないんやで。プロってすごいんや・・・。
また、ラストのインタビューにあったように、最終幕のパドドゥのリフトは小麦粉の袋を「よいっしょー!」と持ち上げて投げるようなリフトが散見された。上品さを奪って、錯乱の表現なのだろう。重心を上げて体固定しないリフトって、どんだけ重たいのだろう。
途中の練習風景では、「ラクラクできているように見せない」と細かい演技指導が入っていた。
マックレー兄さんのタンクトップ
いや、それ以上でもそれ以下でもないけど。インタビューのたびに挟まれる、白タンクのスティーブン・マックレー。
世界白タンクスタイリッシュ着こなし選手権1位なのでは。ブレない白タンクに筆者はいつも目が釘付けになる。
お衣装様が神
やっぱり衣装だよね。バッスルスカート神がロイヤルの舞台に降臨していた。美術・衣装はニコラス・ジョージアディス。
同じマクミラン振付の「ロミオとジュリエット」やヌレエフ作品の多くにクレジットされている。
特に娼館のシーンの上記のダンスのリボンのドレスが絶品だったんじゃよ・・・ドレスカタログあったら買ってしまいそうなくらいキュートな作品たちだった。
ただ後半は暗いので、没入して観る派としては「そうだ、消えて無くなりたいってずっと思ってたんだ。息をするのが辛い。」と思う程度には死の気配が濃厚だった。
ロイヤルオペラハウス・シネマシーズンは今年も始まったばかり。週末にキャラメルポップコーンをもぐもぐしながら観るバレエは、控えめに言って最高であった。
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