英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン「ダイヤモンド・セレブレーション」@Tohoシネマズコレド室町

royalopera

どもどもケイです。2023年末までに今年見た作品の感想メモをアップロードしようキャンペーン(別名、大事なのは質より量だと自分を鼓舞するキャンペーン)として、「ダイヤモンド・セレブレーション」の感想を残しておきたい。
※投稿は2023年12月ですが、記事の日時は公開当時のもので投稿しています。

夏の来日公演のチケットを取ったので、予習にロイヤル・バレエ団の「ダイヤモンド・セレブレーション」のライブ・ビューイングを観てきた。

1夜限りの特別演目

ロイヤル・オペラ・ハウスのファン組織「フレンズ・オブ・コヴェント・ガーデン」。
その60 周年を祝うプログラムとして2022/11/16にライブ中継、11/20にアンコール上映されたものの翻訳上演である。

豪華すぎるフェスみたいな感じで、プリンシパル総出で、新演目を含めて上演。
祝祭なのが伝わってきて、ただただ幸せに包まれた2時間半だった。

男4人v.s.女4人

目玉にもなっている男性プリンシパル4人の「For Four」(ウィールドン振付)と、女性4人「プリマ」(ズケッティ振付)がやはり見応えがあった。

For Fourは流れるような振付を4人見比べる楽しさがあった。特に、ジェームズ・ヘイの手足が伸びやかでつい目がいってしまった。(もちろん残るお3方は変わらず素敵ねぇとうっとり。)

贅沢に舞台上にプリンシパルが4人もいるため、とにかく目が足りない…!

「プリマ」はロクサンダ・イリンチックの衣装も色鮮やかで可愛い。
また、ラストの振り返って去っていく、高飛車だったりお茶目な女性がするような振付がとても素敵だった。(後ろを向いた拍子に暗転になるため、音楽と照明をタイミングよく合わせるのは至難の技だと思った)

痛烈な印象「ディスパッチ・ユニット」

コンテンポラリーも難しすぎず、ほっ。意外にもこの公演で一番楽しんだのは「ディスパッチ・デュエット」だった。

バレエっぽい動きなのに、少しだけずらした動き。
全体的にはクラシックバレエを踏襲しているのだが、アームスの軌道や足の動き、リフトのタイミング、ちょっとしたポーズなどが、少し違う。
それだけでバレエを真似したロボットのような、完成しているのにどこか間抜けで変な踊りの数々。

逆説的に、何がバレエを美しくたらしめているのか?それがどれ程小さな動作なのか?と、思いを馳せずにはいられない振付になっていて、ウィットに唸った。

バレエファンの祭典でパトロン層に向けて、バレエたらしめる何かを骨抜きにしたダンス届けようというスタンスも、すごくロックだよね。

まばゆいダイヤモンド

最後はジュエルズからダイヤモンドを全幕。いつかはちゃんと履修したいと思っていたのでホクホクと観た。

ーーこんな抑えた美がある!?

ジャンプや動きがとにかく優美。技の大袈裟さを競うというより、高さや動きを抑制して美しさを魅せる振付に胸を打たれた。

もちろん控えめ風、脱力風なので、そう見えるように繊細な調整とパワーコントロールをしているのだと思うけど。

高田さんのマノンも相変わらず花開くような印象だったり、MCダーシーバッセルのお衣装(黒のシックなドレスに、ギラギライエローとグリーンのドッシリネックレス、コックリとしたピンクのヒール)もいつも以上に素敵だったりがあるけどこの辺で!!

以下、公式サイトからの演目の引用です。

「ラ・フィーユ・マル・ガルデ」序曲とパ・ド ・ド ゥ
フレデリック・アシュトンが振付。人気上昇中の若手プリンシパル、アナ=ローズ・オサリヴァンがアレクサンダー・キャンベルと息もぴったりに愛らしくコケティッシュに踊る。
【振付】フレデリック・アシュトン【音楽】フェルディナンド・へロルド
【出演】アナ=ローズ・オサリヴァン、アレクサンダ―・キャンベル

●「マノン」 1 幕 寝室のパ・ド・ドゥ
ロイヤル・バレエの伝統を象徴するマクミランの『マノン』より寝室のパ・ド・ドゥでは、進境著しい高田茜が表題役で魔性の美少女を、注目の若手カルヴィン・リチャードソンを相手に甘やかに細やかに演じて恋の高揚感を伝える。
【振付】ケネス・マクミラン【音楽】ジュール・マスネ
【出演】高田 茜、カルヴィン・リチャードソン

●「クオリア」
世界初演作品など現代作品は先進性を誇るロイヤル・バレエのもう一つの顔。鬼才ウェイン・マクレガー作品『クオリア』では、コンテンポラリーに定評のあるメリッサ・ハミルトンが若手ホープのルーカス・ B ・ブレンツロドと長身の見目麗しいペアでスタイリッシュに切れ味鋭く動いて魅せる。
【振付】ウェイン・マクレガー【音楽】スキャナー
【出演】メリッサ・ハミルトン、ルーカス・ビヨンボー・ブレンツロド

●「FOR FOUR」(カンパニー初演)
シューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」にマシュー・ボール、ワディム・ムンタギロフ、マルセリーノ・サンベ、ジェームズ・ヘイと人気・実力ともトップクラスの男性ダンサーが四重奏のようにそれぞれの魅力を発揮しつつ超絶技巧を惜しみなく披露し競い合う。初演は、アンヘル・コレ―ラ、イーサン・スティーフェル、ヨハン・コボー、ニコライ・ツィスカリーゼという当時のトップスターを集めたニューヨークでのガラ公演「Kings of the Dance」で、この4人のために 2006年にウィールドンによって振り付けられた。
【振付】クリストファー・ウィールドン【音楽】フランツ・シューベルト
【出演】マシュー・ボール、ジェームズ・ヘイ、ワディム・ムンタギロフ、マルセリーノ・サンベ

●「SEE US!!」(世界初演)
ロイヤル・バレエが育成する新進振付家ジョセフ・トゥーンガの新作『SEE US!!』はヒップホップも取り入れ、若いダンサーたちのエネルギーが炸裂したプロテストをテーマにした作品。カリスマ性のあるジョセフ・シセンズに率いられた力強い群舞に込められたメッセージ性が心を打つ。
【振付】ジョセフ・トゥーンガ【音楽】マイケル“マイキー J ”アサンテ
【出演】ミカ・ブラッドベリ、ルーカス・ビヨンボー・ブレンツロド、アシュリー・ディーン、レティシア・ディアス、レオ・ディクソン、ベンジャミン・エラ、オリヴィア・フィンドレイ、ジョシュア・ジュンカー、フランシスコ・セラノ、ジョセフ・シセンズ、アメリア・タウンゼンド、マリアンナ・ツェンベンホイ

●「ディスパッチ・デュエット」(世界初演)
米国で活躍するパム・タノウィッツによる世界初演作『ディスパッチ・デュエット』は、アナ=ローズ・オサリヴァンとウィリアム・ブレイスウェルが正確なポワントワークなどクラシックバレエのテクニックを駆使しながらも、モダンでシャープかつウィットに富んだ駆け引きの表現に取り組んだユニークな作品。ロイヤル・オペラ・ハウスのプロセニアム・アーチを生かした舞台美術も興味深い。
【振付】パム・タノヴィッツ【音楽】テッド・ハーン
【出演】アナ=ローズ・オサリヴァン、ウィリアム・ブレイスウェル

●「コンチェルト・プール・ドゥーふたりの天使」(世界初演)
ナタリア・オシポワとスティーヴン・マックレーは、 70 年代に一世を風靡したフレンチポップスの名曲に乗せた、ブノワ・スワン・プフェール振付『コンチェルト・プール・ドゥ-ふたりの天使』を世界初演。止まることのない技巧を駆使しながらも情感豊かに踊り、高度な身体表現で男女の濃密なドラマに酔わせてくれる。
【振付】ブノワ・スワン・プフェール【音楽】サン=ブルー
【出演】ナタリア・オシポワ、スティーヴン・マックレー

●「プリマ」(世界初演)
キャサリン妃やミシェル・オバマなどセレブご用達のファッションデザイナー、ロクサンダ・イリンチックによる鮮やかなドレスをまとった金子扶生、フランチェスカ・ヘイワード、ヤスミン・ナグディ、マヤラ・マグリの若手女性プリンシパルの競演。サン=サーンスのヴァイオリン・コンチェルトの華麗な旋律に乗って、新時代のプリマ・バレリーナたちがダイナミックに舞うあでやかな舞台。中でも金子扶生のエレガンスと輝きは際立っていると絶賛された。
【振付】ヴァレンティノ・ズケッティ【音楽】カミーユ・サン=サーンス
【出演】フランチェスカ・ヘイワード、金子扶生、マヤラ・マグリ、ヤスミン・ナグディ

●「ジュエルズ」より「ダイヤモンド」
巨匠バランシンの代表作、その名も『ダイヤモンド』は彼が宝石店ヴァンクリーフ・アンド・アーペルのショーウィンドウにインスパイアされた『ジュエルズ』の中の一幕。チャイコフスキーの壮麗な音楽と共に、白いチュチュのダンサーたちがロシアの宮廷を再現したように整然とエレガントな群舞を繰り広げ、音楽を視覚化したバランシンのスピリットを継承。マリアネラ・ヌニェスとリース・クラークの輝かしいペアが、『白鳥の湖』を思わせるデュエットで物語のない中にもドラマを見せ、ブリリアント・カットの宝石のような至上の様式美を見せてくれる。
【振付】ジョージ・バランシン【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【出演】マリアネラ・ヌニェス、リース・クラーク
ロイヤル・バレエ団 アーティストたち