伝統を愛することはできる〜映画「神に誓って」@イスラーム映画祭

time

フォロイーのおすすめで人生で初めて映画祭に行ってきた。イスラーム映画祭!(興行の困難の関係で、今年で最後だそうです。)
以下感想メモです。

・伝統を愛しながら現代に合わせて生きることはできる
パキスタンが抱える問題への理解の浅さと、小さな自分を取り巻く世界しか知らないため、卑近な問題に引きつけた感想が強く残った。

家父長制を憎む身として、日本の伝統や文化に対してまで嫌悪感を感じるようになっていたのだが、文化への愛をもったまま、社会をより良くするためのあり方を追求することはできるという作品の強いメッセージに救われるようだった。

ムハンマドのヒゲスタイルは、宗教的な見た目の表現ではなく、敬愛の印として表現しているものなので強制するべきではないという導師の意見に、なんだか励まされた。
例えば、飲み会の席の上座下座をどうする?など、小さいことだけど形をどこまで徹底するのか日々悩んでいるものとしては、印象的なセリフだった。

・パキスタンを知らない
正直、ベンガル地方が宗教によってインドとパキスタンへ分かれたという知識しかなかったので、自分はパキスタンを知らないアメリカ人の登場人物の無邪気でひどい問いと大差ないのだと思った。

・憎しみは許す心で終わらせるしかない
監督自身を投影した兄のセリフが印象的だった。「アメリカ人はウサマ・ビン・ラディンを憎むことを許してはくれない」「アメリカ人を許す」

・弟のピュアさ
昔大学にて、イスラームの授業を受けた際に、テロリストになるほどの過激思想の人ほど、普段は物静かで思慮深い、という言っていた教授の言葉を思い出した。

過激思想に染まるのが粗野な人だけではなく、ピュアで優しい人でも殺人や強姦を犯しうるということが表現されていたと思う。

終わった後のインタビュー映像にて、実際に監督のバンドメンバーでイスラム過激派として活動するようになったバンドメンバーがいたのでそれがモデルになっているのでは(うろ覚え)と言っていた。

・最後のシーンの導師
インドでも著名な役者とのことで、やはりの説得力だった。

3時間弱の長尺の映画だが、音楽や文化紹介などで、楽しみながらあっという間に見ることができた。

ーーーー
<備忘:結末>

弟と兄の裁判が開かれ、過激派に向けて、革新派が過激派の導師を糾弾するように強く弁論に立つシーンがクライマックス。

兄は拷問の末、正気を失う(冒頭のシーンは妻が兄を見舞うシーン)、弟はイスラーム過激派の元から家庭に戻り、拉致されて子供を作った従兄弟の女性は、パキスタンに残って村に学校を作る。