来日ミュージカル「エビータ」@シアターオーブ

どもどもケイです。3ヶ月ぶりぐらいの更新です。このブログを開設したのが昨年9月くらいなのだけど、そこからジワジワと増えていたのだ、記事数と体重が。ここ数年週1〜2回の運動を欠かさなかったのだけど、観劇と文章を書くのに夢中になるとその習慣を維持できなかった。というわけで、諸般の調子を整えるリセット期間だったのでした。今年後半はもう少し更新したいな・・・。

しかし、頻繁に更新していた人がしばらく空けてちょこっとカムバックするって、エタるサイトフラグが全面に立っているな。なんとかエターナル展開だけは避けたいのだけど。

来日ミュージカル「エビータ」


チケットを取ったのがお正月明けなので、しばし忘れていたと言っても過言ではない。演目自体にあまり思い入れが無いこともあり、「久しぶりのミュージカルだなぁ。ワクワク。」ぐらいのモチベーションだった。

が、結果は大フィーバー!

耳が!耳が幸せすぎて!一瞬一瞬が勿体無くてたまらないあの感じだった。
あ〜ミュージカルだな〜という気持ちで胸がいっぱいになって帰ってきたのだった。

歌の実力でねじ伏せる


主演のエヴァ役のエマ・キングストンが絶品だった。小柄で高い声だったが、パンチのある地声も伸びやかな裏声も自在に操る声の魔女だった。聞いているだけで頭の中が快楽にまみれるので、いつまでもいつまでも聞いていたいのだ。
「アルゼンチンよ、泣かないで。」はやはり名曲なのもあり、ささやくような出だしから、朗々たる最後まで引き込まれた。

チェ・ゲバラのラミン・カリムルー

あと、ラミン・カリムルーは年末の4Starsぶりの再会。アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲ということで、どこかファントムを思わせるような凄み方だと感じた。チェ・ゲバラは狂言回しの役であり、後世から見た我々の目線の代表。それに止まらず、エリザベートのトートのような不吉な死の予兆として、エビータに絡みついていた。

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Opening tonight, July 4 at Theatre Orb. Always have wanted to play this role and grateful to have this stint here in #Tokyo with this incredibly warm, joyous, talented and fun company. I’m so excited to be part of their final city, here in Tokyo, which I’ve made no secret that it’s one of my favorites. Very grateful for this experience. See you all throughout this run. Thank you for supporting me and this wonderful company led by the formidable @emkingston #eva #che ********************************Check out EVITA website in English for ordering tickets from outside Japan. http://evita2018.jp/sp/english.html 「エビータ」7月4日開幕 チケット情報は公式サイトへ!  http://evita2018.jp/

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地味な軍服着て舞台上をウロチョロしているだけなので(失礼、よっぽどの人が演じないと空気になってしまう難役だとは思う。しかし、あまりの存在感と安心感に、常にラミンを探してしまうのだ。そして、なんというか余裕もすごくて、今日あと10回ぐらいできるよね?という感じだった。

演出がシンプルだったので、2人が向かい合って歌うだけという演者によっては眠たくなるようなシーンも、引き込まれた。
他にもミストレス役のイザベラ・ジェーンやアンサンブルも含めて、とにかく声が出る。歌うことに対して労力をかけていないように見えるので、聞いているこちらもストレス無く染み入ることができる。たたき上げの専門職が見せてくれる魔法を堪能したのだった。

シンプルなストーリーと王道の演出

全て見終わった感想、「素朴な演出とストーリーだな」。1978年の作品のオリジナル演出。現代に見ても違和感が無い曲と演出なのは、すごいことだ。
軍幹部が透明な椅子を取り合う「The Art of the Possible」、エヴァとペロンの出会い「I’d Be Surprisingly Good For You」では背後で2人を象徴するタンゴが踊られていたり、「A New Argentina」では寝巻きでベッドにいるペロン夫妻の周りで群衆が讃えることでこの政権の歪さを表現していたりと、随所に視覚的な比喩表現が散りばめられていたのが楽しかった。

また、「アルゼンチンよ、泣かないで」のあと、目の前でドレスを脱ぎながら「High Flying Adored」、下着から次の衣装を身につけて「Rainbow High」、と舞台上での衣装がえの演出も面白かった。衣装好きの筆者はオペラグラスがん見。
暗いところがなく、どこか得体の知れないエヴァがよく表現されていたシーンだと感じた。それにしても古典的な曲構成で地のセリフがほとんど無いので、主演2人はほぼ出ずっぱり、歌いっぱなしなんですな。

現実の方がグロテスクかもしれない

昨年見たDearEvanHansenのような、現代に焦点が直撃している作品に比べると「今、見る意味」がぼやけがちになるなぁとは思った。「良いカンパニーで最高のミュージカルを見せたい」というシアターオーブ主催はあっぱれであるが、今この作品をオーブで観賞する意味とは…。
誤解の無いようにしたいが、オーブには感謝しかない。こんな贅沢な体験が、渋谷でできるなんて感謝と涙しか出ない。アンケートもラブレターのように書いた。

おそらくだが、現実の政治・社会局面の方がよほどグロテスクなせいだと思う。最近は理解を放棄している。テレビも見られないし、ツイッターのタイムラインなども夢の世界で埋めている。

エヴァの深い孤独

一方で、「エヴァ・ペロン」という人物が心に迫る作品だと思った。本人映像もふんだんに使われていて、上質なドキュメンタリーコンサートを見ているようだった。
ペロンのベッドから愛人ミストレスが追い出されて歌う「Another Suitcase in Another Hall」は、エヴァ自身の少女時代との決別と表に出さない心細さが表現されていて胸打たれた。
この前半のシーンを皮切りに、エヴァの栄光はどこか脆く悲しさが漂う描き方がされている。

「アルゼンチンよ、泣かないで」を歌い終わった後、エヴァが見なさいよとペロンに誇るシーン。単なる純粋な聖女として描かずに、権力欲にまみれた女性として描かれていた。そこからペロンや国民に愛を乞う「You Must Love Me」まで、愛されたいがためにアルゼンチン自身になろうとした彼女を感じ取れるのだ。
最後亡くなるシーンを終えて、その寂寥感が余韻のように残った。