来日ミュージカル「王様と私」@シアターオーブ

どもどもケイです。ミュージカル王様と私を見てきた感想を残しておきたい。ブログが本格的に更新停滞してエタりそうなのだが、なんとか夏休みに復活したいんだぜ、、、。

というわけで、発売初日にヒィヒィ言いながらチケットを取った王様と私をついに見てきたのだった。

ケリー・オハラ来日!渡辺謙(毛あり)の再登板!!そして直前の朗報!なんと今回のプロダクションのオリジナルキャスト、ルーシー・アン・マイルズの出演決定!!!

日本で見られるなんてなぁ・・・と胸に迫るものがあった。ケリー・オハラってついこの前に見たトニー賞オープニングで、超ドセンにいたあのケリー・オハラだよね?(他に誰がいるのか。

開始5分で泣く

チケットを奮発したので、前から5列目のセンター席じゃ!最初のシーンの歌「口笛を吹いて」で、朝もやの中、舞台上から船がせり出してくるオープニングシーン。
ケリー扮するアナが船から出てくるのは映画館映像で見て知っていた。舞台を見上げる形で初めて気がついたのだが、ちゃんと至近距離で見てもケリー・オハラが見えないようになっているのだよね。
カーテンの陰に隠れている。

このタメの演出がにくいねー!!

そして舞台にめちゃめちゃ近い船の上でワンソング。このオープニング演出の巧妙さは劇場じゃ無いと分からなかったなぁ。スターであるケリーを織り込んだタメと登場なり。

そして涙がダバー。

だって本物のケリー・オハラだ。日本でオリジナルキャストのミュージカルを舞台装置や衣装込みで全幕出演してくれるんだぜ。トニー賞主演女優賞を獲得した役で。
近すぎて最早美しい生声も届いてきて、生きてて良かったと思った。

音響いいなー

もちろんオーケストラ伴奏であることもとてもアガるのだけど、マイクの音響が最高だった。ちゃんと本人から飛んでくると感じるように設計されていて、自然。制作側の気合が伝わってきた。

ルーシー・アン・マイルズ来たー!

なんていうか、オーラがすごかった(語彙力。歌はもちろんなのだけど、スターってやっぱり場の支配力があるのだよなぁ。

彼女を見るとどうしても去年の痛ましい事故を思って胸が苦しくなるのだけど。それでもこのカンパニーに参加してくださったのは、ありがてぇな。最後カーテンコールに辛そうに泣いていて渡辺謙と抱き合っていたのは、色々考えてしまうな。

おかしな西洋の人たち

そして全幕の中で1番心に残ったのは、ルーシー・アン・マイルズの「おかしな西洋の人たち」。余裕と洒脱さが混じった、歌声、振る舞いと表情。

映画館で映像を見たときも胸がスカッとしたシーンだったけど、舞台上の彼女は圧巻だった。
特に女性たちの歌のバックで、小さなハミングをしているのだが、そのささやくようで途切れない芯のある強さの音色のバランスが最の高。

この話の狂言回しはこの王妃で、誰よりも賢く先を見通しているのかもな。

役者が卓越していると、単純なストーリーに深い色彩が加わるのだな。でも、このシーンの最後に女性たちがスカートの中を見せてはけるシーンは、アジア人として見ていて忸怩たる思いがするよ。

たとえ江戸の人たちが下着をつけてなかったとしても(江戸が好きなので思いつく江戸風俗を例に挙げた)、文化の差を自身の価値観で笑いに変えるのは許されないと思うのよね。

ケン・ワタナベの気遣い

可愛くて、どこか憎めない、本当に魅力のある人だなと思う。印象だったのは、1幕最後のアンと王様とのやりとり(平泳ぎしたり、寝そべってバタバタしたり)。
このシーン映画館の映像でも全く同じ振りで、もちろん演技。
アドリブでやっていて、ケリー・オハラが思わず素で噴き出しちゃって、仲の良さが強調されているように見えて・・・2人とも演技。

心なしかケン・ワタナベは、笑いポイントでの動作が、ブロードウェイ版よりも大げさ。客席は男性も多かったのだけど、安心して爆笑していて。日本人特有の笑っていいサインってやはり日本人の渡辺謙が出すの上手だなぁと思った。
気遣いに溢れた演技だったよ。

アンクル・トムの小屋

このシーンも映画版から印象がガラリと変わったシーン。映画館で見たときは退屈でなんでこんなロングの尺を取るのか?と思っていたが、間近で見ると新体性の高い、難しいダンスの連続。

ダンスや音楽、涙の表現など端々にタイの伝統舞踊と思われる要素を入れていて、異国情緒に溢れていてすごく魅力的。

どこからが文化盗用なのか?

アンクル・トムの小屋のシーンは引きこまれる一方で、でもダンサーは西洋の体の使い方なのだよなぁとほろ苦くも思った。外旋させたバレエの体の使い方をしていて、あくまでアジアンは取り込んだ要素でしかない。

メトロポリタン歌劇場のヘンテコ・ネオ・ジャパネスク「蝶々婦人」を見たときにも思ったけど、これって多分文化盗用と主張できるレベルなのだろうなぁと思った。

乱文になってしまったが、一生に一度というキャッチコピーは嘘じゃなかった。
シャル・ウィ・ダンスのケリー・オハラの歌声の美しさはずっとずっと心に残るのだろう。

大切な思い出になったのだった。