どもどもケイです。仕事が立て込んでたけど行ってきたよ、ゲゲゲの先生へ。
お姫様とファンタジーを愛する筆者としてはあまり気乗りしなかった。好きなのはゲゲゲじゃなくて、ロココなんだぜ・・・。
しかし、イキウメの前川作品だし、イキウメの人出るし、イキウメスキーとして行かないと後悔するのでは?という忠誠心120%で渋々足を運んだわけだけど、ところがどっこい帰りは幸せに包まれて帰ったのだった。
▽前回のイキウメ作品の感想はこちら
ゲゲゲの先生へ
舞台「ゲゲゲの先生へ」始まります!主演は佐々木蔵之介さん。脚本と演出は水木しげる作品をこよなく愛する気鋭の演出家、前川知大氏。東京公演は10月8日から。全国6会場を回ります。詳しくはこちら!→https://t.co/7nDGLcBqBO pic.twitter.com/sycIWOQsWf
— 水木プロダクション (@mizukipro) September 12, 2018
本作は、「イキウメ」を拠点に劇作家、演出家として活躍している前川知大が脚本、演出を手掛ける新作。水木しげるの「世界観」を原作にした完全なオリジナルストーリーに、幾つかの原作短編を織り込んでいきます。(公式サイトより)
この解説にナンジャラホイ?と思っていたのだが、水木作品の小話アレンジのオムニバスを、さらに前川オリジナルの厚めの皮で包んだ話だった。公式の2次創作ほど、美味しいものはございませんがな。
ただ、本作品は単なる2次創作ではなくて、前川さんの水木しげるに対する並々ならぬ執念と執着尊敬と憧れが詰まった2次創作だった。
イキウメの原点
とにかく、あーイキウメじゃん!の感想に尽きた。「図書館的人生」や、「暗いところからやってくる」など、得体がしれない怖いもの。でも日常に潜む不思議なもの。前川作品の世界観は、水木しげるの影響を受けていたのか!と目から鱗がボロボロ落ちた気がした。
そして、前川さんの目から見ると、水木しげるの作品はこんなにも奥深くて、慈愛に満ちた眼差しを人間に向けるものなのだなということを感じた。前川フィルターを通して、水木作品を追体験するのだ。
妖怪の話の中から、友人の死についての感じ方、バチが当たるという感覚、社会批判まで、妖怪が抱擁するたくさんの世界観を散りばめていたように思う。
優しいノスタルジィ
目に見えないもの、暗闇を受け入れる懐の深さが全体に滲んでいた作品だった。現代の窮屈さに対する、まさかの妖怪ソリューションの提示。
筆者がハッとしたのは、ラストのシーンだ。お財布からお金が無くなったのを、ネズミ男の仕業だと言うシーン。お金が抜き取られたことを咎めず、落ち込まず、妖怪の所業として受け入れて過ごしていく。妖怪が身近だった人たちは、そうやって災難をやり過ごしていたのかもしれないと感じた。
妖怪を受け入れることで、多様性と許しが生まれる。なんでこんなに優しい舞台なんだろうなと、途中何度も感じた。
「懐かしさ」というのは妖怪の大切な要素で、それがないとただのモンスターになってしまう。あと水木先生も言ってるけど、妖怪は音や気配で感じられ、本当は目に見えない存在だってことも、あのフレーズで言っている。「音がするんだ」と現在形だと現れちゃうかもしれない、でも現れちゃいけない。
— 前川知大 Tomohiro MAEKAWA (@TomoMaekawa) September 24, 2018
人がいなくなると妖怪もまた消えるという概念が印象的だった。
ギャク炸裂
多分観客の心に一生残るであろうコケカ様シーン。今回の圧倒的なMVP池谷のぶえ様。コケカキキーデールココデール!って、会社で絶望した時はこれ言おう。
今日も稽古。稽古場には水木先生の漫画や妖怪画が資料としていたるところに貼ってある。ストーリーとは別に「このコマのこの感じ」をどうやったら芝居にできるか、そんなことばかり考えてる。 pic.twitter.com/gfwIxlGfb1
— 前川知大 Tomohiro MAEKAWA (@TomoMaekawa) September 14, 2018
このシーンの人々の惑い方などは、まさにマンガみたい!!だった。水木しげるの絵のタッチを観客が知っているからこそのオマージュ。
あと緑のモサモサね。
東京千秋楽は平和に終了。ありがとうございました。ただ今撤収中。松本へ向かいます。 pic.twitter.com/g94mrfbl0F
— 前川知大 Tomohiro MAEKAWA (@TomoMaekawa) October 21, 2018
舞台「ゲゲゲの先生へ」は水木しげるへのオマージュ作品ですが、観てる人は多分水木のことを詳しく知らない人がほとんど。でもその人たちにも前川知大氏(脚本・演出)経由で水木のメッセージが伝わってるのを感じます。ところで、舞台には水木の好きな、ニューギニアのドクドクが3体も登場!コレ↓ pic.twitter.com/XJwNXjYsNw
— 水木プロダクション (@mizukipro) October 11, 2018
客席が若干困惑するほどの唐突感で登場した緑のモサモサ。筆者もあれ着て通勤したい。
芸能人のオーラ
大きなハコにはオーラが必要だと思ったし、どんなに薄汚くしていても佐々木蔵之介かっこよすぎやしないか。
最後の根津と雪女のラブシーンが胸キュンすぎて、破壊力抜群。正直、あの戦隊モノの名乗りみたいなシーンが必要なのか謎だったけど、佐々木蔵之介と松雪泰子がお互い見えなくなって、でも再開できるのは大変美味しかった。芸能人パワーしゅごい。そしてチケ代が高い。
穏やかな気持ちになれた作品だった。
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