今日の2本目はロイヤルバレエ団カフカ「変身」。
虫に変身した人間をパンツ一丁の生身の肉体で表現しようという意欲作。振付はアーサー・ピタ、主人公グレゴリー役はプリンシパルのエドワード・ワトソン。肉体美がぱない。
ひたすら無視する母
主人公が虫になってからも、お母さんは主人公を一顧だにせず美容体操に明け暮れるシーンがある。
主人公が毒汁に塗れながらのたうち回っているのに、テレビを見ながらレオタードを着て美しくポージングを繰り返すのだ。
政治や経済から目を背けて、ひたすら動画配信を視聴する自分に重なるところがあって、身につまされる気持ちになった。
ちなみに常に何かしらの薬品を吸っているこの心の弱そうな母は主人公に取り込まれていく。
墨汁祭り
純白の装置に黒い液体で、グロテスクだなぁ、、、演出の勝利!と思っていたが、途中の装置転換(セットが斜めになる大掛かりな舞台転換はおお!と目を見張った)があってから、液体大盤振る舞い!!
日本人なせいか、どうしても墨汁・・・という思いが頭から拭えず。そのあとドゥルンドゥルンになりながらダンスが続くので、大変危険だなぁと思って見ていた。
主人公から腐ったような黒い汚れが家中に撒き散らされていくのだよな。みんなが掃除しても消えないの。見ていて辛い。
みんなの輪に加わりたい主人公
原作と異なり、皆がリビングで楽しくダンスで盛り上がっているところに、自分も参加したくて主人公が出ていき物語は破滅を迎える。
理解者だった妹から憎まれてこれは辛い、、、。
ラストの妹が美しいレディになるシーン、夕日を浴びながら黄色いドレスで回るところは染みましたな。妹自身が醜いものを経験して、大人になるストーリーにも思えた。