【限定配信】メトロポリタン「アドリアーナ・ルクヴルール」

adriana_lecouvreur

みなさん、ロココは好きですか?私は好きです(何の確認。

ニューヨークのメトロポリタン歌劇場が日替わり配信をしている「Nightly Met Opera Streams」。
現地7:30p.m.から23時間の作品公開なので、日本だと日にちが翌日の朝8:30〜翌日7:30の間になる。

昨年度の話題作「アドリアーナ・ルクヴルール」が早くも登場!
松竹のライブビューイングで見逃し、夏の松竹アンコール上演の日程が合わず、WOWOWで見逃していたので本当に嬉しい!

前回同様、友人との在宅同時上演会でした。

おロココ炸裂

作品自体は1902年のオペラにしては新しいのだが、作品舞台は18世紀ロココ朝、実在の女優アドリエンヌ・ルクブルールの生涯を描いた作品である。

メトロポリタンオペラの見所は、何と言っても札束で引っ叩くような豪華なセットと衣装。今回はロココということで、皆ローブ・ア・ラ・フランセーズ!

華美な装飾のガウン、ボボンと広がったパニエ、男性陣もレースたっぷりの袖口・・・と、お衣装を見ているだけで、ワーワーワーと1時間半が過ぎていった・・・。

衣装デザイナーのBrigitte Reiffenstuelのポートフォリオサイトには様々な舞台の衣装が掲載されていて、このサイト見ているだけでも楽しい。

▶︎Brigitte Reiffenstuelのサイト

このドレスの名称を調べている中で見つけた京都服飾文化財団サイト。様々な年代のお洋服が拡大して見られる。
▶︎京都服飾文化財団デジタルアーカイブ

装置ももちろんロココ

調度品も全部猫足なんすよ。2幕は公爵の別宅のシーンなのだけど、そのシーンだけのために、カーテン、燭台、テーブル、ソファ、椅子、衝立、窓辺、絨毯などなど、ちょ、シーン止めて明るくして(終始暗かった)、拡大させてじっくり見せて〜〜〜というような感じ。

大女優 VS 公妃のド派手バトル

その中で繰り広げられるのが、恋のN角関係(友人命名)!!そしてジェラシーほとばしる大迫力歌唱バトル!!
Adriana lecouvreur
超豪華セットの中で、超豪華歌手陣による、結構どうしようも無い(え?)ドラマ!!オペラはこうでなくちゃ!!

主役の大女優アドレリーナ役に現実でも超人気女優のアンナ・ネトレプコ、そんなネトレプコとアイーダ(2人がアイーダとアムネリスだった)に引き続いて恋のライバルを演じるラチヴェリシュヴィリ、マウリツィオ役にピョートル・ベチャワと、万年初心者でも見覚えのある方ばかりというメト常連組で固めた盤石の布陣。名作を届けるという気合が伝わってきますな。


上は2人がアイーダを演じたときの映像。ちなみにインタビュアーは筆者が好きなイザベル・レナード様。

マウリツィオは伯爵だけど、身分を偽っている

いや、タイトルのままなのだけど、女優アドリアーナと出会って恋をささやくマウリツィオは、伯爵なのに伯爵の旗手と身分を偽っているんですよね。

最高か!!

それが2幕の公爵別邸で、実は伯爵その人なのがバレるのだが、、、友人曰く、ここでアドリアーナがマウリツィオに対して、敬語になっているらしいんすよね。

最高か!!!(2回目。

アドリアーナに想いを寄せる終始いいおじさんのミショネ氏や、アドリアーナ自身もすごく純真で思い詰めてしまう性格にしていたり、悪辣な公妃がどこか哀れだったり、このプロダクション、とんでもストーリーを腹落ちさせてくれるとても良い話でした。

劇中劇

冒頭に女優たちが遊女のように扱われたり、劇中作のバレエ「パリスの審判」がどこか猥雑だったり、かなり当時の時代背景に忠実そうな劇中劇の描き方だった(無駄に雲から宙吊りで降りてくるヘルメス、こういう見たいけど予算が・・・みたいな演出をしてくれるのがメトのほんと良いところだと思う。

そして舞台上に舞台袖や舞台が組まれて、そこでアドレアーナたちが上演するのだ。最高だぜ!(3回目。

最後は無言のカーテンコール。友人は主役不在の胸に染みるカーテンコールと捉えていたし、筆者自身は女優を貫いて華々しく最期を迎えたアドレアーナへの手向のような気がした。

バトル大爆発

いや、バトルとは聞いていたけど、予想以上だった、、、2幕の暗がりでの鞘当て(一刻を争う状況なのに、ジェラシーが勝るヒロインたち(早くにげよ?

3幕のお互いに暗がりの相手に気付いてから鞘当て(ここの下手から2人の表情を抜くカメラワーク最高だった)、からの大爆発。

アドリアーナが女優なので、2幕最後も「彼女は逃げたわ!群集よ!」ってセリフがあったり、公妃をあざけるのもセリフだったり、最期もセリフが入ったり、オペラらしからぬ感じでとても面白かった。

あと、友人に教えてもらった公妃役ラチヴェリシュヴィリのインスタ。毒のすみれを贈るシーンを文字通り舞台裏で実演。ノリノリである。

取り留めないがこの辺で!