イキウメ「図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの」@東京芸術劇場シアターイースト

どもどもケイです。今日も1日4本更新を目指すので、これで3本目です。時間制限があるとちゃんと書けることに気がついた。

5月に観に行って書きたいなと思っていたイキウメの感想を残しておきたい。

イキウメ「散歩する侵略者」@シアタートラム

2017.11.05
ちなみに一番好きな劇団だ。イキウメの概要と前回の作品の感想は上記をご参照ください。

人気「図書館的人生」最新作

筆者がイキウメを知った公演であり、人気の短編連作である「図書館的人生」形式での久しぶりの作品。図書館的人生だって!と、予告アナウンス時点からイキウメスキー界では情報が駆け巡っていた。
SFでリトルホラーでミステリーな作・演出前川さんの持ち味が生かされる形式だと思う。

人工知能に移植された父を描く「箱詰め男」、自分の世界に対する影響力を主張する男の話「ミッション」、就活に苦戦する大学生とガンと戦う母親を描いた「あやつり人間」の短編3本立てだった。それぞれ2036年、2006年、2001年と時代をさかのぼるような形で、少しずつ話がリンクしている。

非常に洗練されているというか、それぞれテーマも明確で示唆に富んでおり安心して観ていられると思った。今回も客演の皆様がいい味を出している。
ストーカー気質でどこかゾッとする青年を演じていた役者に見覚えが・・・と思ったが、ハイバイ「ヒッキー・ソトニデテミターノ」でも、乱暴な引きこもり青年を好演していた田村健太郎だった。

ハイバイ「ヒッキー・ソトニデテミターノ」@東京芸術劇場シアターイースト

2018.02.25

印象的な舞台装置

入場すると上空に浮かんだ岩のようなオブジェが非常に印象的だ。オブジェは3幕で重要な役割を果たしていた。また枠が等間隔で重なったようなフレームもインパクトがあった。劇中では、通路として人物が一斉に出てきたり、追いかけっこに使ったり、奥のフレームから意味ありげに人物が登場したり、違和感なく色々と活用されていた。
今回の作品は3作品が入れ子の構造になっているので、テーマに沿った装置だったと思う。

なんでそのシーンで笑うの?

とにかくとにかくこの観劇で強く怒りが湧いたのが、第3幕だった。
女子大学生の主人公が就活について、人生について悩んでいる作品だ。その途中で、元彼氏である男性につきまとわれて「君が心配なんだ」と言われ、兄からも「君が心配だからちゃんと就職しろよ」と言われ。本人は就活以外の道が選びたそうに見えるのに、心配という言葉でがんじがらめになっていた。
そして彼女の頭上には、善意の形をした他人の自己中心的な感情の塊が見えるのだ。

特に彼氏だった男性からストーキングされるシーンでは、家まで押しかけられて一方的に好意を押し付けられて背筋が凍りそうになった。なのに、会場では笑いが起きたのだ。確かに男性、兄、主人公のやりとりはどこかコミカルだ。
だからこそ距離を取りたいのに許してもらえない主人公の恐怖と気持ち悪さが浮き彫りになるのだけど、とにかく隣や前で笑っていた人たちをはっ倒したくなった。悔しくて泣きそうだった。

お兄さんは助けてもらえるの?

上記、社会的圧力を的確に切り取っていた作品だったが、一方で主人公の兄もまたフラフラになりながらずっとタップを踊っている姿がラストでは描かれていた(は、濱田さん踊ってるぅ〜。ただ、力尽きた兄は、お母さんと主人公に助け起こしてもらっているんですな。最後。

いや、現実そうなのかもだけど、主人公との扱いの違いがツライと思ったのだった。男性も確かに役割を担わされて大変なのかもだけどさ、結局主人公救われていないのでは・・・?

スルメのように楽しい後味

作中では、ガンのお母さんが抗ガン剤をやめる決断と絡めて、ガンに対する「大人しくしていて。心配かもしれないけど、そっと見ていて」という言葉で結論づけられていた。社会的な圧力を単に憎むのではなく、距離をおいて自立する選択を取るべきなのでは?というメッセージと受信した。

納得できん!と思いつつ、考える余地があるところ含めてイキウメクオリティだな・・・とホクホクしたのだった。
そのほか、衝動に任せることが啓示として主張しちゃう2幕とかも、私もキレたくなる時に解き放ちたい〜と思ったり。1幕の機械になってしまった男の話でも、最近のIOTと自身のデータ化の課題意識にヒットしたり。

結構落ち込んでいた時期だったが、好きな作品に触れると人は無条件で幸せになるのだなと実感して、池袋を後にしたのだった。


劇団の公演は来春までないが、前川さんの作・演出作品は秋に上演されるので楽しみだ。