シアターが無料提供しているコンテンツが追い切れないのだが、今週末の1本目はこちら。
アンドリュー・ロイド・ウェバーが開設したYouTubeチャンネルの「The Shows Must Go On!」。毎週日本時間の毎週土曜日午前3時から48時間限定で週替わりで作品配信されている。
今回はジーザス・クライスト・スーパースター2012年アリーナ・ツアー版とのことだ。キリスト役はベン・フォースター、ユダ役はティム・ミンチン、マリア役はメラニー・C。
曲は概ね知っていたのだが、ちゃんと見るのは初めてだったのでホクホクしながら観たのだった。
パンクな乗り
アメリカン・イディオットに感動したバイブス、と言うかパンクな乗りはジーザス・クライスト・スーパースターでもうすでに完成してたんやなと思った。
1971年のブロードウェイ 初演当時にリアルタイムで見ていたら、興奮し通しだったのではないかとおもった。
ロック・オペラ
全員が結末を知っている物語のため、歌唱と演出を楽しむオペラに近い味わいだった。ユダとイエスの言い合いのところが、それぞれのシャウト大合戦になっており楽しい。
1番感動したのは最後の晩餐シーンからの「エリ・エリ・レマ・サバクタニ(わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか)」のところだ。
磔シーンは派手派手演出なので、イエスの嘆きは最後の晩餐の夜に前倒されていた。
このシーンは引きつけられてしまい、終わった後でも家で見ていても快哉を上げた。
イエスが死んだのは後世の我々の罪も背負ってと言う教理理念と理解している。
(イエスが我々の罪も背負って裁かれたのだから、我々は救われている的な)
自分たちのために死んでくれるイエスがこんなにも苦しんで、こんなにもドラマチックに自分の運命を受け入れるのだと思うと、興奮すると思った。
そして、自分が今熱狂しているものは何なのか不思議な気持ちになった。
そこからの拷問と磔のところは、音と演出が結構キツくて、家で見るのが限界の怖さでした。。。
聖書的な発見:香油のエピソード
途中に出てくる香油で足を洗って髪を拭うエピソード。聖書だと、私自身は、信仰のために富を投げ打つ他者に対して自分の正義を押し付けることはしてはいけない、信仰の形はそれぞれだという風に理解していた。
このミュージカルだと、教えを広めるイエスの苦悩を、マグダラのマリアだけが気づいて慰めている、という形になっている。
むむ?と思って、聖書解説をネットサーフィンしていたのだが、このシーンをマリアだけはイエスの死が近いことを理解していたと言う記事が出ていて、ふーむと思った。
理解しがたいな、、、と言うエピソードをあっさり解釈こみの歌にするのはミュージカル布教ならではだと思う。
濁流に飲み込まれるように、イエスもとても人間的に描かれていたし、ユダもイエスへの期待とそれゆえの計画性のなさへの絶望という腹落ちするストーリーになっていたので、翻案さすがだなぁと思った。
日本だと誰になるのかな?親・・・鸞・・・?む、空海か。
男性社会だな
一方で、2020年現在で見るとちょっとしんどいなと思うところがいくつか、、、。主役陣も使徒もピラトたちも男性ばかり。あまりに女性が空気すぎるし、マグダラのマリアは紅一点&聖母扱いで、彼女は救われるのか?って思うし。
娼婦だった彼女もイエスとの出会いで救いになったんだ、だから濃い化粧も落として素顔になるんだって表現は、興味深かったけどちょっとやだなと思った。
疫病が夜の飲みなどから広まって、貧しい人から犠牲になってくる構図は2020年になっても変わらないのだと思うと、複雑な気分に思った。
あと、復活シーンが宗教上も盛り上がり上も大事に思ったのだが、磔シーンで終わるのだな、この作品。
取り急ぎ!