主役変更で大胆な演出!「スペードの女王」ロイヤル・オペラ・シネマ@東宝試写室

どもどもケイです。東宝が主催するイギリスのオペラハウスの映画館上演の試写に行ってきたので、感想を残しておきたい。

↓試写の応募はtwitterやFacebookなどで、定期的に募集しているのでアカウントをフォローしておくと便利だ。

大体、上映1〜2週間前の木曜日に試写キャンペーンをしている。応募期間月曜〜水曜、決定通知火曜or水曜、上映木曜のような超もろタイトなスケジュールの試写だが、ツイッターだとリツイートだけで応募できるのでお手軽だ。

筆者はリツイートすること10数回にして初の当選となった。東宝さんありがとうございます!よっ!大手シネコン!(ヨイショが下手

35席ほどの試写室

ちなみに素材は今回の試写の特典でもらった正規データだ。今後もダイレクトメールでお願いすればいただけるとのことだった。「ファンのみなさまの応援で成り立っていますから、どんどん使ってください」とありがたいお言葉。合法素材探しの手間が省けて大変ありがたいっす。

スペードの女王

スペードの女王の舞台写真
プーシキンの原作小説を1890年にチャイコフスキーがオペラ化した作品だ。1888年「眠れる森の美女」などですでにロシア社交界の花形になっていたチャイコフスキー、本作ではそのチャイコフスキーに焦点を当てた演出がされていた。

あらすじ
若い士官ゲルマンが、伯爵の娘リーザに恋をする。身分違いの恋を成就させるため、リーザの祖母の伯爵夫人が知る3ケタの必勝のカードを聞き出そうとする。伯爵夫人に迫る強欲主人公ゲルマン。伯爵夫人はショック死ところがどっこい、伯爵夫人がゲルマンの枕元に立って、「3」「7」「1」の秘伝のカード札を教えてくれる。ゲルマンは大きな賭けに出るーー。

大胆不敵のステファン・ヘアハイム演出

今回のオペラの着目ポイントは、大幅な読み替え演出!
演出はノルウェー出身の売れっ子演出家ステファン・ヘアハイム(Stefan Herheim)。1790年オスロ生まれ、父がノルウェー国立オペラ座のオーケストラ団員だった影響でアシスタントをしながらチェロを習熟、その後ドイツで演出を学んでいる。

今回のあらすじ
舞台上では1夜の情事を楽しんだチャイコフスキーが、寝た男に金をせびられている。男になおも言いよるも、振られてしまうチャイコフスキー。そこへ魔笛のオルゴールが聞こえてきて、作曲を始めるチャイコフスキー。登場人物が話しかけてきて、「スペードの女王」のお話にどんどんお話に巻き込まれていくチャイコフスキー。ただし、話の端々に振られた男が登場して思い悩むチャイコフスキー。結局、悪夢のような話は終わり、最後に舞台に取り残されるチャイコフスキー・・・

そう、チャイコフスキーが主役だyo!そして、まさかの夢オチ!

たくさんのチャイコフスキー

上記はラスト近くの賭博場のシーンなのだが、お分かりいただけただろうか? そう、舞台上には数十人のチャイコフスキーが!!なんでや!!

筆者はツッコミ体質のせいか、途中からジワジワ来るのが止まらなかった。
舞台装置のコストを集中投下しているであろう豪華シャンデリア、その使い方一つとっても唖然とするほど自由なのだ。
エカテリーナ女帝
聞き間違いでなければ、1幕最後のシーンではちょこっとブーイングも起きていた。客席が総立ちを求められて、荘厳にエカテリーナ女帝が登場するシーン。

同じく自由奔放な他の動画

ヘアハイム演出は首尾一貫して、大胆読み替え舞台。他の演出も中々アレだったので、一部紹介したい。

2017年デュッセルドルフ歌劇場「ヴォツェック」


存在感のある手術台。もうこれ曲が頭に入ってこないのでは・・・。

2013年ノルウェー国立歌劇場「サロメ」


舞台いっぱいを占める首。ヨカナーンの首・・・でけぇなぁ。

2008年バイロイト音楽祭「パルジファル」


魔法の城の崩落をナチスドイツの崩壊と重ねている。

新鮮だがノーロマンティック

今回の面白みは、作曲家が登場人物と対話するところ。登場人物たちが、アリアをくれとねだったり、話の筋の変更を求めたり。パーティーが予想以上に盛り上がってしまい、チャイコフスキー自身がうんざりしているシーンでは思わず吹き出してしまった。

一方で、そもそも自由奔放なヘアハイム演出に加えて、メタ表現が目白押しだったことで物語の神秘性はどこかへ吹き飛んでしまっていた。

また、同性愛者の孤独、キャリアの成功と家庭の不和などをテーマにしているが、孤独にするにはチャイコフスキーは成功しすぎている気がした。舞台全体にもエネルギーが満ちていて、惨めな雰囲気があまり感じられなかったのだ。

とはいえ、新しいオペラを見た!という満足と、衝撃的すぎて演出家の過去作品を漁るほどには新たな体験となったのだった。ロイヤルはバレエにしか通っていなかったので、今後オペラも通えるように仕事に励んで賃金を稼ぎたいと思った。

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