【限定配信】メトロポリタンオペラ・ドニゼッティ「真珠採り」

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先週観た作品なのだが、感想を残しておきたい。

こちらはニューヨークのメトロポリタン歌劇場が日替わり配信をしている「Nightly Met Opera Streams」を視聴した。

▶︎Nightly Met Opera Streams

日本では松竹がメトロポリタンオペラのライブビューイング収録を数ヶ月後に日本語訳付きで映画館放映、WOWOWがさらにその半年〜1年後にテレビ放映をしている。

▶︎松竹のメトオペラサイト
▶︎WOWOWのメトオペラサイト

なんと!それが!毎日無料で放映!インタビューも含めて日替わりでどんどん作品を流すメトオペラ!太っ腹〜!!

現地7:30p.m.から23時間の作品公開なので、日本だと日にちが翌日の朝8:30〜翌日7:30の間になる。

気になっていたのだが、友人に誘ってもらい人生初のオンライン観賞会とともに真珠採りを見ることになったのだった。ちなみにパソコンで動画を同時に流し、ラインで感想を打ち込むスタイルだった。

少女漫画な真珠採り

美少女レイラ、直情系漁師ナディール、インテリ頑固青年族長ズルガの3角関係を描いた作品(今回のメト演出のズルガが良すぎたので、彼の紹介だけ長い。

最初から最後まで全12回の連続ドラマの最終回を見ているかのような、怒涛の展開。ツッコミも心の動きも追いつかないままに、駆け抜けてフィニッシュしてくれる当時のそして今も庶民向けオペラであった。

時間も2時間を切り、オペラというよりミュージカルのような、いや、ミュージカルにしてはコテコテの展開すぎて、アレなのだが(オペラのメロドラマは大体アレだけど、、、)、もうこういう作品大好きなんだよな。

ペニー・ウールコック演出が最高すぎる件

冒頭の序曲の背景で海の中へ潜る真珠採りのシーンからスタートなんだけど、これがフライングなんですな(リトル・マーメードスタイル。え、豪華すぎるんですけど。しかも生の舞台でこういうフライング見たいんだろ〜見せてやるぜぇ〜このメトの予算でヨォ〜という心意気を感じて、惚れた。


この後も、水辺の演出や、男性陣の描き方などすべてが計算し尽くされた萌え(計算し尽くされた萌えとは・・・)が炸裂していて、過去メトのライブビューイングを見た中でもかなり上位に食い込む好き演出だった。

身分違いのブロマンススタート

まず最初から最後まで、アホイケ面熱血漁師ナディールと、真面目一徹の族長ズルガの友情が良い。2人の過去の妄想が広がる。これだけでご飯何杯も行ける。


冒頭にナディール(テノール)とズルガ(バス)の二重奏「神殿の奥深く」が炸裂する。昔、レイラという女性を取り合った2人だが、今は親友。
2人が命をかけた友情を誓い合うのだ。(一緒に視聴していた友人は歌が終了した瞬間に「いやこんなに美しい「いろいろあったけ俺たちズッ友だょ✨」があるか!?とチャット画面に叩き込んでいた。)

筆者は思った。なんて・・・巨大な・・・フラグ・・・!!

そう、このストーリー次々と巨大なフラグが立ち、余すところなく回収していくのである。

巨大なフラグが次々と立っていく前半

そこから、深くベールを被った巫女が船に乗って登場したり(いちいち演出が最高、美女が昔2人が恋焦がれたレイラだと判明したり、レイラとナディールが光の速さでよりを戻したり、レイラが唐突に昔命を助けた男の話をして、男にもらった大きな真珠を見せびらかしたり(意味深に登場する大きめのアイテム、神官が「この神殿にいるお前は何重にも守られている」って言ったり、、、フラグと認識する頃には、次のフラグを立てていく怒涛の展開。

ダムラウ様最の高

その間にも、主役たちは見事なアリアを次々と披露。レイラ役はみんな大好きディアナ・ダムラウ様なのだが、ほんと可憐というか天才肌というか、なのに歌声は美しくて、これは人々を魅了してもしょうがないわ〜ていう。

あと、今回の神官はダムラウ様のパートナーであると友人に教えてもらった。メト共演のハイスペック夫婦。

テノールのマシュー・ポレンザーニも、命を誓った男の友情を秒で破るどうしようもない感じの役なのだが(バレエでも良くみる古典男性自制心なさすぎ問題)、全てを凌駕する甘い歌声。いやぁ〜こんなセクスィーな歌声だったら、もう話の筋がアレでも全然オッケーってなるよね。

常にジェットコースター展開

そんなこんなで主役2人が服を脱ぎ脱がせを始め(画面の前で慌てる視聴者たち、そうこうしているうちに人々に見つかり(あまりの言い訳のできなさに一緒に絶句する視聴者たち、ツッコミも追いつかないし、ドラマティックにつぐドラマティックで、息ができなくなって前半終了。

余談だが2人がイチャイチャするシーンで、かぶっている巫女のベールをレイラがナディールにかぶせて、その中で2人でチューするシーンがあるのだけど、この禁断さが凄かった。俺たちのペニー・ウールコック様の分かっているみが凄かった(語彙力。

ズルガが美味しすぎて最の高

休憩で一息ついて、後半はズルガの部屋からスタート。ズルガは秘めたる恋の持ち主、ということでレイラへの恋心をひた隠しにしながら、彼女に詰られるズルガ。

いやほんと、無骨で有能で秘めた恋をした挙句、嫉妬に狂って相手の処刑を命じる中年男性って、こんなの好きじゃない人なんている!?(荒ぶってチャット画面に放り込んだが、友人には秒で同意してもらえたので満足。

レイラは終始ズルガ(みんなに尊敬されている賢いリーダーなんだけど)のことを冷酷非道と思っていて、最後にはあなたを呪う、あなたに従うくらいなら死を選ぶというのだけど(レイラ様強い・・・好き・・・)、この罵り合いのシーンが、ほんと良すぎて。

いやー・・・真珠採り・・・素敵物語やったんや、、、

そしてこのシーンの最後にレイラの持っていた真珠を見て、そこからはラストシーン。
このラストシーンも恋人たちの歌になるとやたらめったらにロマンティックなメロディだったり、男性陣の服がいつの間にかビリビリになって流血していたり、処刑は火炙りだったり、ラストは大規模火災が起こったり、、、と我々の心なんぞ知らずにぶっちぎってドラマ終了!!

いやーそそる演出と、おセンチでコテコテな筋を芸術にしてしまう歌手陣やオーケストラの豪華さ!
メトオペラならではの美味しい作品だったのだった。

そして初めてのオンライン同時視聴会は、1人で観るのとは違う楽しさがあったのと、チャットログが感想メモになってとても便利でござった。

今週は日曜のアドリアーナ・ルクヴルールを観る予定だ。おロココ時代の女優の話なので、セットや衣装も楽しみなのである。

▶︎過去のメトオペラの感想はこちら

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