METライブビューイング「マーニー」@東劇

どもどもケイです。ライブビューイングが渋滞している。

ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のオペラを大画面字幕付きで観られる「METライブビューイング」。松竹が提供している老舗のライブビューイングだ。舞台芸術の最高峰の豪華作品を3,600円で楽しむことができる。幕間の突撃インタビューがすごく強引非常に豪華であるのが特徴だ。


筆者は年1〜3回程度足を運んでいるのだが、今回主演のイザベル・レナード様アリアンヌ・フィリップスの衣装に惹かれて、新作オペラの「マーニー」観てきたので感想を残しておきたい。

INDEX

  1. 現代音楽だが聞きやすかった
  2. 新作のオペラって新鮮だった
  3. イザベル・レナード様が美しすぎた
  4. 衣装15回早着替えが尊すぎた
  5. マイケル・メイヤー演出でスタッフも超豪華
  6. マーニーの原罪は女性としての生きづらさ?

マーニー(Marnie)

原作はウィンストン・グレアムの1961年の小説「マーニー」。マイケル・メイヤー演出、ニコ・ミューリー作曲、イザベル・レナード主演により製作された新作オペラだ。1964年にはヒッチコックが映画化もしているミステリー・サスペンス作品だ。

現代音楽だけど聴きやすかったyo!


作曲はニコ・ミューリー。現代音楽ということで、思い出されるのは去年のロベルト・ルパージュ演出「遥かなる愛」。全編アンニュイで不協和音や効果音たっぷりのメロディがつかめない装飾的な曲、映画館に満ちる寝息のハーモニー、筆者も途中で撃沈・・・。
警戒感マックスでドキドキと見に行ったのが、ニコ・ミューリー作曲はメロディも割とはっきりしていたし切ない旋律が心地よくて大丈夫だった。っていうか、製作陣がミュージカル畑の重鎮たちなので、ほぼオペラ歌唱のミュージカルだった。

新作オペラは作者が生きている

「マーニー」は2017年にメトロポリタン歌劇場の委託作品としてイギリスで初演された作品だ。衣装とセットデザインは、作品の舞台である1950年代のイギリスをモチーフにしている。

モーツァルト「フィガロの結婚」の初演が1786年、ヴェルディ「椿姫」は1853年、プッチーニ「トゥーランドット」でも1926年初演と、作曲者や原作者が死亡している場合がほとんどのオペラ。
今回の幕間のインタビューでも「作曲者が生きているのってどんな感じ?」というインタビュアーの質問に、「作曲意図を質問できる」「自分に合わせて音符を足してもらえる」と歌手たちが口を揃えて答えていたのが印象的だった。
オペラの曲解釈って大変なんだな・・・

オリジナル・キャストで味わうオペラ

新作の舞台の醍醐味といえば、キャストに合わせて製作されるいわゆる「当て書き」。ブロードウェイのミュージカル好きだとお馴染みだが、作品初演のキャストは「オリジナル・キャスト」と呼ばれ、別格視される。
オリジナル・キャストの音域・演技・ビジュアルに合わせて作品が製作されるため、オリジナル・キャストはもはや作品構成要素の一部なのだ。
次の役者たちは、完成した作品の要求する技量に合わせてキャスティングされていく。

今回友人に教えてもらって、古典がほぼのオペラでのオリジナルキャストだ!という新しい興奮を得たのだった。

イザベル・レナード様が炸裂

WOWOWで見た「フィガロの結婚」のケルビーノの美少年でメロメロになってしまったイザベル・レナード様様つけちゃうよね〜!!1982年生まれ、ニューヨーク出身のメゾソプラノだ。メトロポリタン歌劇場の地元出身だったのだな。
2007年「ロミオとジュリエット」ロミオの小姓ステファノ役でメトデビュー。そこから、2009年のザルツブルグ音楽祭での「コジ・ファン・トゥッテ」ドラベッラ役、ウィーン・オペラ座「フィガロの結婚」ケルビーノ役などを経て、メトへ再登板している。輝かしい経歴の持ち主だ。

歌の技量もだが、圧倒的なビジュアル力。気が強そうで(ディーヴァに気が強くない方なんていないと思うけど・・・)、眉と口元の動きの美しさよ〜美しさよ〜美しさよ〜(エコー。

彼女の公式サイトには尊いお写真がたくさん掲載されている。

▽「フィガロの結婚」ケルビーノ「恋とはどんなものかしら」

▽「セビリアの理髪師」ロジーナ「今の歌声は」

今回のマーニーは明るいだけではなく、罪を抱える不安定な女性だったが、陽の人であるのにメンヘラ感が出ていて女優すごいなぁと思ったのだった。

アリアンヌ・フィリップスによる15回の早着替え

衣装が好きなら本当に楽しい2時間半である。舞台袖には特設着替え場が設けられて、F1のピットインのごとく次から次へ衣装替えして登場してくるマーニー。


ネタバレになってしまうが、最後の墓場シーンでの衣装が最の高だった。喪服の参列者の中で、すこーしだけ赤が入った暗いワインレッドの喪服のマーニー。

髪型は夜会巻きに服と同色のボンネを乗せていた。探し回ったらNYTimesの記事にカーテンコールの写真があったので掲載しておく!これ!!


ボンネの端には黒で草木の装飾がされていて、本当にかわいーの!!!
ずっとシックで大人っぽかったのに、最後の最後の少女時代を思い出すところでキュートなボンネって!!反則!!!

マイケル・メイヤー演出

2006年「春の目覚め」や2010年「アメリカン・イディオット」、2014年「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」などのミュージカルでもお馴染みのマイケル・メイヤーの演出だった映像や照明を派手に使った心理描写が特徴だと思っている。

2013年「リゴレット」をメトの同じくライブビューイングで観たのだが、その時はポールダンスを配していたり面白いけどガチャガチャしているなぁという印象だった。今回は舞台の使い方が大きくなってる!?

ブロードウェイの有名スタッフの競演

マーニーの様々な変装の動画を投影してメランコニックな世界観を表現したり、プロジェクションマッピングを多用したオフィスを展開したり、1幕の最後の手首カット自殺を赤いシルエットで表現したり・・・とマイケル・メイヤーらしさが光っていたのではないかと思った。

それもそのはず。照明デザインはケヴィン・アダムズ(ヘドウィグアンドアングリーインチ)、セットデザインがジュリアン・クローチ(ヘドウィグアンドアングリーインチ)、振り付けリン・ペイジ(ラ・カージュ・オ・フォール)・・・お抱えチームそのまま出してきたな!!

▷セットデザインが掲載されている公式ページ

ミュージカル好きで、ライトなわかりやすいオペラが好きなら、そりゃあ今回のマーニー楽しいよねという納得感。ありがとうメト様。巨額の予算で、巨大な萌えを提供してくれるメト様最高すぎる。

時間切れなので、マーニーの抱えていたのって原罪?とか、母が鬼畜というよりも女性としての生きづらさを描いているのではないか?とか書き足りないことがあるがこの辺で!!

次回は、いつもキュートすぎるディアナ・ダムラウ様と、学生時代からゆるーく追っているフローレス様が登壇する、同じマイケル・メイヤー演出の「椿姫」(2/8~2/14上映)を観に行く予定です!

▽イザベル・レナード出演「フィガロの結婚」の感想はこちら

メトロポリタンオペラ「フィガロの結婚」

2017-10-23

▽マイケル・メイヤー演出「アメリカン・イディオット」をNY現地で見た感想はこちら

【NY7】2010年人生初めてのブロードウェイ(Wicked & American Idiot)

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▽前回のメトライブ感想はこちら

METライブビューイング「ラ・ボエーム」@新宿ピカデリー

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