匠が贈るお下品ブラックコメディ〜ナショナル・シアター・ライブ「博士の異常な愛情」

スタンリー・キューブリックのコメディ映画「博士の異常な愛情」の舞台化作品。見どころはスティーヴ・クーガンの1人4役早変わり。

以下、感想メモです。

・教皇選挙の直後に1日で観たのだけど、前者が豪華な割にマイルドな感じがメッセージ性が高いところは良いなと思うものの物足りなく思っていたので、全編ブラックジョークに生き返る。下品なのを欲していた。

・ナショナル・シアター・ライブについても、前回の真面目が肝心からコメディ2本続きで、楽しいのが好きなので幸せに。

・ちょうど生命の泉(レーベンスボルン)計画のwikipedeaの項目を読んだ後だったので、科学と自由の戦士のボーイズクラブが行き着く先を見てブラック爆笑

この国の人たちはほんと他国をこき下ろすのが好きだな

・英国軍人、アメリカ大統領、マッド博士、カウボーイパイロットの見所の4役替えは楽しいの極み。でもカツラとかはいじらなくても、もっと素の演じ分けで観たかった。演じ分けが上手すぎて本当に別人みたいになってしまうので、かって妙味が薄れてしまったような気がした。

・最後は銀幕スターのようなプリプリ姉ちゃんが出てきて、冥界エンドと思いきや、ちゃんと世界滅亡の一発が映像でぶち込まれて爆音&暗い照明の不快エンド。最後まで、毒と笑いのバランスが大変良かった。

・男性性とそれがもたらす破滅を強調してたけど、元映画からこの部分どの程度テイストが入れられたのかは気になった。

・役者さんは上手いのは当たり前なんだけど、わざわざ4役1人で上演する必要は無かったというか、3シーン同時進行でテンポ良く進むような演出でも面白かっただろうなと思う。

・映画だと画面の切り替えでいいけど、どうしても替え玉と、早着替えをつなぐ間の悪さのようなものがあった気がする

・特に大統領補佐の人が上手かったと思う。凡人の感情移入ポジションというか。

・想像に過ぎないが色々な物々しい会社経営や会議をデフォルメするとあんな感じになるんじゃないかな…

・装置ふんだん。映像が効果的。小物中心き時代を反映しつつ、分かりやすい状況説明を映像でしつつで、上手く融合していた。
戦略図やミサイルなどのところだけでなく、基地のシャッターや戦闘シーンなど、無くて行けそうな箇所にもちょこちょこ取り入れることで、映像の違和感を拭えていたと思う。

一方で映像原作を中々全部は舞台にできなかったように見えたので、ギャグギャグしくはなっていたが、少し安易というか舞台としての創意工夫の面白さは減ってしまったと思う。

テンポを優先したのは理解なのだが、ロデオは映像ではなく実物で見た方が楽しかったのでは。ラピュタに向かっているところ最高!

また特に博士の冒頭のテレビ会議は、画面のブレでうまく繋いでいてその手が!の気持ち。

・同じ人物が演じる意味が、原作がそうだった、面白かった、以外に汲み取れなかったからかもしれない。

・衣装
博士の猫背と足が痩せてしまっているの、緑と紺の制服の中の、ワインレッドのロシア大使…など分かりやすかった。
最後の映画スターのお衣装はプリーツ多用で色んな役者に合いそう。

・音響
銃声楽しい。ラジオとか電話とか、役者の声とかタイミングが大変そう。

・照明
大統領の背中とかうまいこと顔を見せない工夫に富んでいた。