どもども令和初日ですね、ケイです。先日見に行ったシャザム!がとても胸を打ったので感想を残しておきたい。アメコミヒーロー物が好きなのだが、個人的にここ数年で1番良かった映画だった。
※ファンタビは魔法特別枠であり、2作目公開後の現時点で既に全作品殿堂入りが決定しているので除く。
シャザム!予想以上にめちゃめちゃ良かった。
ヒーローへの憧れで大きくなった自分にはぶっ刺さるものがあった。
ここ数年のアメコミヒーローものの中で1番好きかもしれん。#シャザム pic.twitter.com/MOeBql84TN
— ケイ (@key_s410) April 27, 2019
ちなみに映画を観るきっかけは、松竹ブロードウェイシネマ「シー・ラヴズ・ミー」を観たからだ。同じくザッカリー・リーヴァイが主演している。シー・ラヴズ・ミーとシャザム!はセットで観ることで、ザッカリーの可愛さを120%味わえるのでオススメしたい。
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index
- シャザム!概要
- リアリストの主人公
- スパイダーマン:ホームカミングとの比較
- まさかの・・・展開
- ヒーローになれない人のための映画
- 脚本・構成の妙
シャザム!
https://twitter.com/warnerjp/status/1119254331356618753
「スーパーマン」や「バットマン」と同じDCコミックスのヒーロー「シャザム」を映画化。見た目は大人だが中身は子どもという異色のヒーローの活躍を、独特のユーモアを交えて描く。映画.comより
何を話してもネタバレになってしまうのだが、ヒーローや超能力を愛する勢にはブッ刺さる内容になっているので、ぜひ劇場で見て欲しい作品だ。アベンジャーズやコナンに挟まれた公開日でハラハラしているので、この映画の実力が評価されることを望んでいる。
リアリストの主人公
アメコミヒーローものには珍しく、主人公は首尾一貫してヒーローに憧れが無い。中二病ではなく、リア充なのだ。そのため、ヒーローパワーを単なる便利な力として扱ったり、悪役の口上にドン引きしたり、人助けのためのヒーローパワーの使い方がイマイチだったり・・・と本作のコミカルさの肝となっている。
筆者は直前に本当に好きすぎるギャグなオペラを見ていたため、今季NO1とはならなかったが、シュールなギャグが好きな人はハマる作品だと思う。
スパイダーマン・ホームカミングとの比較
昨年度、佳作だなぁと思った作品としてスパイダーマン:ホームカミングがある。シャザムと同じく、高校生がヒーローになる原点を扱った作品だ。
シャザムと異なり、主人公はスパイダーマンに憧れるヒーロー願望保持者だ。ラストは、ヒーローパワーを失っても心がヒーローであればヒーローになれるというドストレートなメッセージだった。すごく良かった。
ただ、メッセージングで言うとシャザム!の方がもっともっと脚本を練った上で刈り込んでいた印象だった。
ヒーロー映画のカタルシスは束の間
筆者はアメコミヒーローものが好きだ。中学生の時に観たX-MENに始まり、今でもジャンプ漫画「僕のヒーローアカデミア」やアベンジャーズなどをこよなく愛している。近年巷に溢れすぎて追えていないけど。
まぁ、ヒーローものだけでなく、魔法やエスパーや怪盗などすべて好きなのだが、やっぱりヒーローものは特別なのだ。
この歳になると、なんとなく分かっている。ヒーローになりたいけどなれない自分を作品に投影して、カタルシスを得ているのだと思う。現実への無力感をバネにして、特別な力を持った主人公が世界を救う話を見て幸せな気分になるのだ。
今日もまた映画館でちょっとした高揚感を得て、また現実の戦いに帰っていくのだ。
シャザム!のもう1人の主人公
シャザム!には主人公の親友役フレディ・フリーマンとして、ヒーローに憧れる少年が登場する。彼は足が悪く学校の中でも浮いていて、その屈折した思いがさらに彼をスーパーヒーローに駆り立てていることが、序盤を通じて分かる。
彼の成長譚がシャザム!のもう1つのストーリーの柱だ。フレディは、ヒーローオタク知識を総動員して、「シャザム」の特殊能力を調べて主人公ビリー・バットソンへ戦い方を伝授する。
また、活躍ぶりをYoutubeへ投稿して、プロモーション係も担う。途中までは本人も言っている通り「サイドキック(ヒーローものに不可欠の相棒役)」としての手腕を遺憾なく発揮するのだ。
しかし、ストーリーを通じてフレディはずっとヒーローになりたいことが示唆されている。ヒーローになりたくて、でもなれない。友人に嫉妬しつつも、全力で心配して手伝うとても良い奴なのである。どうしても彼の目線でこの映画を見てしまう。
まさかのハグプリ展開
昨年2018年度のプリキュア「HUGっと!プリキュア」は、ツイッタランドの皆さんから非常に高評価を得ていると聞いている。1度も見たことがなくて恐縮だが、とにかく男性のプリキュアが誕生したことと、最終回近くでなんかみんなプリキュアになったことは把握したのだった。
シャザム!のメインメッセージも「今のままの君は最高だ!周りと信頼しあえば、ヒーローにだってなれる!」であり、ハグプリの「なんでもできる!なんでもなれる!輝く未来を抱きしめて!」と同路線である。
そう、賢い皆様ならお分かりの通りであろう。
みんなシャザム!化したyo!!\(^o^)/
ラスト15分で6人のシャザムの誕生だ\(^o^)/
主人公や親友はみんな孤児でグループホームに入っている。他にも4名の少年少女たちがいるのだが、彼らも含めてスーパーヒーローになったのだった。ちなみに画像はショップで売っているクリアファイルなのだが、グッズが盛大にネタバレしているワーナーブラザーズパイセンのガバガバさが見て取れる。
このみんなシャザムになっちゃうとんでも展開部分、すごく胸アツ。ストーリー上の必然性があるのでとても説得力のあるシーンに仕上がっている。
ハグプリ好きな人なら絶対「シャザム!」を好きだと思うが、布教する瞬間にネタバレるという葛藤ゆえに、ツイッターなどでつぶやくことができない。誰かハグプリクラスタにシャザム!情報を届けて欲しいと思ってそっとネットの海へ放流しておく。
「彼がヒーローにしてくれた」
ラスト近くで主人公が虎のぬいぐるみを少女に手渡すシーンなど、涙腺が緩むシーンはいくつもあったが、やはり最後の最後のシーンにはジーンと来てしまった。
親友フレディの元に「シャザム」化した主人公がやってくる。カフェテリアで大勢の前でヒーローが自分のことを特別扱いしてくれるという幸せなシーンだ。のみならず「シャザム」である主人公は言うのだ。「彼こそが僕をスーパーヒーローになる術を教えてくれたんだ」(セリフがうろ覚え。
ヒーローになれない人のための映画
親友フレディに主人公が言っている構図に加えて、DC自体が観客に言っているセリフに聞こえた。そしてボロロと涙が出たのだった。ヒーローが氾濫している世において当たり前にヒーローを享受していたが、ヒーローをヒーローたらしめているのは我々の希望なのだなぁと思ったのだ。
無名の人々の「こうあったらいいのにな」「本当はこういうことをしたいんだ」という気持ちがヒーローを生み出して、活躍させているのだ。英雄になれないなぁと思うけど、自分自身がずっとヒーローものが好きだったその気持ちがあるからこそ作品が生まれてくるんだよ、と趣味自体を肯定してもらったようでとても嬉しかった。
これほどまでにマーベルやDCなどの英雄譚がヒットしている背景に、社会自体への無力感があるのだろうなぁとも思った。平和な時代にヒーローは必要ないというナレーションはよく出てくるが、人々が活力に満ちている時代にはもしかしたらヒーロー映画は求められないのかもしれない。
子供の無力は大人じゃないから
もう一つ本作の特徴は、一貫して主人公を少年として描いていたことだ。シャザムになればできることは大人になればできることとして明確に描かれていた。学校を途中で抜けたり、不動産会社と対等に話したり、お酒を買ったり、悪い奴をやっつけたり・・・。
大人に対して引け目を感じる必要なんてなくて、子供自身ができないことはそのうちできるようになるから大丈夫だよと言っているような温かさがあった。
構成・脚本の妙
感想を書いていてもめちゃめちゃ論点があるのだが、とにかく構成が秀逸だった。様々な要素を笑いあり涙ありのストーリーへまとめ上げ、ヒーローものとしても独自性を演出する・・・ストーリー自体は伏線に次ぐ伏線で、計算された構成が好きなのだが非常に満足。
監督はデビッド・F・サンドバーグ。ホラー死霊館シリーズでヒットを飛ばす実力派だ。うーん、だから冒頭めっちゃ怖かったのか。交通事故のくだりとか耳塞いでいないと見られなかった(パニック起こしかけた。制作のピーター・サフランも死霊館の人だ。
ギャグに見せかけているが非常に骨太の作品だった。
▽ザッカリー・リーヴァイ主演ミュージカル「シー・ラヴズ・ミー」の感想はこちら