ナショナルシアター・ライブ「みんな我が子」@Tohoシネマズ日本橋

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感想メモを残しておきたい。
見終わって、良い演劇を見たなぁ・・・と思った。アーサー・ミラーの1947年初演の作品だ。

相変わらず、最初のインタビューが分かりやすい。自然光を模した照明の話や、当時の脚本から現代に通じる部分を抽出して表現するくだりなど。

前半が平和過ぎて、スプラッシュマウンテンのうさぎどんを追っている気分だった。これ、最後に落ちるやつじゃん、うすら怖いやつじゃん〜とおののきながら見ていた。

弁護士兄が登場したシーンで、悪夢の始まり感があるのだが、長男の手紙が登場したあたりから、お、落ちるー!となった(カメラに向けてポーズだ!

行き止まりの結末

恐ろしい話だとドキドキしていたのだが、ラストは父の自殺で渋く締めて終了。これ以上精神壊れちゃう系だと筆者としては段々怖くて耐えられなくなってくるので、少しホッとした。

冒頭の地下には牢獄がある、お前に攻められたら自殺する、というセリフの伏線を回収してのラストだった。

ここまで迫力展開で、最後は意外とコテコテ王道ストーリーだなぁと一瞬思った。しかし、戯曲の年代が1947年とのことなので、むしろ当時の斬新な話をこの後の時代の色々な作品で見ているのだろうな。

アイテムを使った暗喩もとても古典演劇的だと感じた。兄の木が嵐で折れて2幕の冒頭に弟が切り落としたり、母手作りのジュースをみんなで飲んでそのまま雰囲気に流されてしまったり。

演技に魅了

大きな場面転換も無い会話劇なので、役者それぞれからの説得力に魅了された。

ビル・プルマンの引退したのんびり田舎オヤジだと思いきや、前半最後の凄みを利かすところからのアクの強さが印象的。
ボンボン次男といい、ニューヨークで恐らく苦労したのだろう隣人兄妹といい、なんともいい感じ!

しかし、何と言っても母役のサリー・フィールド。母の闇が深かった。事件の時も夫へ助言したのも彼女だろうし、最後息子にすがりつかれてなだめている姿がむしろゾッとした。

罪を犯してそれを隠しながら歪に生きるって、原罪、とまではいかないけど、とても共感できる感覚だ。
その上で、裕福な主役家族への隣人の妬みだったり、小さな村の社会での人間関係が丸っと味わえるような作品だった。

ミュージカルだけじゃなくて、バレエだけでもなくて、やっぱりストプレもいいなぁと改めて思った。
アーサー・ミラー作品は今回が初めてだったが、とても好きな感じだと思った。「セールスマンの死」、「橋からのながめ」などナショナルシアター・ライブにもラインナップされている有名作ばかりだ。
他にも「民衆の敵」、「るつぼ」など聞いたことがある作品たち。

最近サラリーマンしていて中々舞台に時間を割けないのだが、コツコツと続けて見ていると、古典から最新作まで履修できるナショナル・シアター・ライブ様様だなぁと思っている。

また行きたい(小学生の夏休みの絵日記のような締めくくり。

前回のナショナルシアターライブの感想はこちら