パラドックス定数「トロンプ・ルイユ」@YouTube

どもどもケイです。夏休みの宿題は9月に入ってから徹夜で毎日仕上げるタイプだった。

11月いっぱい!パラドックス定数の動画配信祭りに遅ればせながら参加し始めたので感想を残しておきたい。

トロンプ・ルイユ

2011年の作品の2019年再演録画。気になっていたのだけど、中々観に行けなかったので配信ありがたいかぎり。

タイトルはTrompe-l’œil、フランス語で騙し絵だ。トリックアートのように、馬を通して人の生き様を見て、人間を通して馬の思いを見る、まさに騙し絵のような作品だった。

小劇場の狭い空間に馬が見える!

馬をテーマに扱って、被り物やパペット一切なしに手綱だけで馬を舞台に出現させて完走してしまう面白さ。

各馬に対応した人物を配置して、馬と登場人物たちのドラマが二重で見えるようにして展開していくドラマの妙が面白く、グイグイ引き込まれて見てしまった。

観終わった後、ふと我に帰って。いや、テーマは面白いと思うと思うけど、小劇場で低予算で馬の話しようって、正気の沙汰じゃないよね?と思った。

破綻なく作品として完成させていることがもうなんか、新感覚というか。
違和感ない完成度に持ってくる脚本演出、役者さんたちの技量と、首元の金具とリードだけで馬を見てしまう客席の狂気のハーモニーというか。

都合12人物(馬含む)と頭数が多いので、各人のドラマはそこまで深さを感じるものではないのだが、制作側と客席双方の舞台に対するすけべ心みたいなものが露出しているので、なんかもう美味しくいただける作品だなと思った(どんな感想。

テーマの掘り下げが明確でこってり

途中で馬のキャラと、登場人物のキャラ被ってんじゃね?と気づいたときの、ぐぬぬ感。
だんだんと馬と人のオーバーラップが明確になっていて、最後は頻繁に入れ替わって。今どちらの立場なのか、明確に分かるのはリード以外にも役者のたたずまいからなのか。

前回のDas Orchesterの時も思ったのだが、テーマの掘り下げ方が自覚的で濃厚だなと思った。馬と人を交錯させる、そして競馬に人が思いをかける時、それは自分自身の人生を賭けている時というのを表現する。
そこ一本に芯を作ってドリルで掘り込んでいくというか、フィーリング型の脚本というよりも、理系の脚本という感じがした。こってり。

馬可愛いよ、馬

また、各馬のキャラが楽しい。みんなアホ可愛い。ずっと見てられる。厩のシーンだけ詰め込んだ、スピンアウトが見たい。

そして、レディと調教師の関係にぐっとくる。最後の二人のシーン。尊すぎて辛かった。

とりあえず光の2作品を観たので、ここから恐る恐る闇の作品に足を踏み込んでいきます。

▼Das Orchesterの感想はこちら
パラドックス定数「Das Orchester」@シアター風姿花伝