イキウメ「イキウメの金輪町コレクション」甲・丙プログラム感想

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どもどもケイです。
2月に引越しをして、少し広めのデスクを購入したところ、ブログ更新が捗るようになった。

前から欲しかったカントリー・コーナーのデスクを奮発したのだが、書斎机に座ってもスマホをいじっているのだと格好がつかないので、せっせと原稿作業をするようになった。
なりたい姿があるのなら、投資して形から入るのも大切なのだなぁと改めて思った所存である。

なお、自分一人の部屋だとスマホをいじって遊んでしまうので、リビングの一角を占拠して作業スペースを設けている。お前の居間は俺のもの、俺の机も俺のもの(ジャイアン。

「イキウメの金輪町コレクション」

明日、2021年3月22日からいよいよイキウメの「金輪町コレクション」のストリーミングが開始する。

ストリーミング開始!

2/4〜21に東京芸術劇場シアターウエストで上演していたものを収録、放映するものだ。
チケット購入が3/27(土)まで、視聴が3/28(日)までと期間が短いので、要チェックである。

◎チケット(視聴申し込み):2021年2月28日(日)10:00発売開始〜3月28日(日)0:00
◎料金:2,500円(税込)
◎視聴期間:2021年3月22日(月)19:00~3月28日(日)23:59

◎チケット購入サイト(e-plus)
▶︎イープラスのチケット購入サイトはこちら
▶︎イキウメWEBはこちら

今回は17日間で、2時間の公演を3種類(甲・乙・丙)上演すると言う挑戦的なものだ。
日によっては2作品続けての日もあるので、とにかく役者さんが大変そうだな、と言うのと3本観たいファンもハードですな・・・と言うものだった。

筆者は、甲と丙の2本になんとか滑り込めた。見逃した乙プログラムは、ストリーミングで観る予定だ。
感想を残しておきたい。

甲プログラム

イキウメの真骨頂(だと勝手に思っている)短編作品集の上演!
「図書館的人生」などの小作品集から抜粋した作品を、金輪町という架空の町で起こった出来事として再編して上演していた。
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地図になっていたり、役名に説明までついていたりと、パンフレットもとても魅力的に仕上がっていた。

3本立て

甲プログラムは「箱詰め男」「優しい人の業火な「懐石」」「いずれも誰もがコソ泥だ、後は野となれ山となれ」の3本。「図書館的人生下」からイキウメに参戦しているので、3本中2本が未見で嬉しい限りだった。

箱詰め男については、父山田不二夫が安井さんから浜田さんへキャストが変更していた。人情味あふれる安井さんよりも、より機械的な浜田さんになったことで、父のマシン色がより強く出ていた。

金輪町のこれからが楽しみ

寄木細工が金輪町の特産品というマイナーチェンジが入っていた。作品の世界観が1つの街へ集約するのは、かえって世界が小さく見えないのかな?というのは、この作品に限らず創作物でよく思うことではあるのだけども(小説や漫画などでも同様の収斂を見せることがある)。

出演者がワークショップを繰り返して町への理解が深まることで、ゲゲゲの鬼太郎的なイキウメの摩訶不思議な世界観を深堀したアウトプットが出てくる、というのはファンとしては喜ばしいことだなと感じた。

これから先、COVID-19が発生しなかった世界線とは全く異なる、イキウメの創作領域に入るのだと思う。金輪町コレクションを見て、改めて外の道ワークインプログレスを見ると創作過程が味わえて、楽しい。
というか、今回の公演のアウトプットを見て、やっと何をしていたのかを理解した。

業火な「懐石」

いやーなストレス(ただし役者も観客もそれを求めているところがある緊張感)が続く作品。閉鎖空間の犯罪の話なので、張り詰めたものが切れたら全部がぶっ壊れるのだが、危なげなく最後まで演じきっていた。
大窪さんは劇団1の真面目に見えるというか、こういう突き抜けた演技へのアプローチが丁寧だと思っていて、同じく真面目そうな森さんとのペアの安定感があるなぁと思った。

業火は、罪人が身を滅ぼすことや、地獄の業火という文字通り、地獄での罪人を苛む大火を指す。飲食コンサルティングの辻に関して、鼻持ちならない偽善者を描いて後味の悪さが残ると思いきや、最後の一言のセリフでグッと持っていかれる感じがした。

万引きの話

3本目は楽しい話だったし、イキウメが好き=安井さん好きみたいなところあると思うので(主語がデカイ)、この状況で馳せ参じたファンたちへのご褒美パート感が漂っていた。

他作品合わせても、松岡さんのセリフとタイミングの物量が相当なものだと思うので、パワフルな演技は頭が下がるような気持ちになった。

「いきなり本読み」で岩井さんが、高校に行かずにお寺を巡って死を探索していたという作・演出前川さんの紹介をしていたのを見たばかりだったので、仏教との繋がりを強く意識した観劇となった。

外の道ワーク・イン・プログレス

昨年2020年5月の公演中止を受けて、ワークインプログレスという形で劇団の作品へのアプローチがWEB公開されている。ロビーで飾ってある金輪町のジオラマも、役者たちが手ずから制作している様子が掲載されている。

イキウメがドラマターグを導入して、しっかり制作プロセスを取っていて見ていて興味深いので、こういう制作が増えるといいと思う。

そのためには役者や演出家、制作スタッフが専業とするための補助金が不可欠だろう。どの程度の資金があれば我々が望む世界線に出会えるのか?最近の課題なので、ここは調べたらまたご報告したい。

丙プログラム

「弁明」「高速ジジババ」「賽の河原で踊りまくる「亡霊」」の3本立て、と見せかけて冒頭にコントが入る4本立てだった。

入りはコメディから

語る室を何本か見逃している関係で、冒頭の短編は過去の作品かは不明だったが、新境地というか。最の高だった。もう最初の写真の時点で大好きだった。

一方で言葉を言葉通り捉えてしまう特性がある人への揶揄というか。もちろんインタビュアーは度が超えているから面白いのだが、言葉の字面でしかコミュニケーションが取れない特性を身近に感じているとどこか居心地悪い演劇でもあった。

弁明

金輪町コレクションのハイライト、というか、町のジオラマを持ち出して金輪町の住人たちによる夏祭りが開催されている形で劇が進行していく。

映像放映向きというか、作品に没入しなくても楽しめるように配慮された演出だったので、ストリーミングの時代反映されていていいなぁと思った。

高速ジジババ

語る室を見逃していたので、嬉しい落語再演。土屋理容店のオヤジとして柳家三三さんが登場。落語を生で見るのはほぼ初めてだったのだが、落語家の演技力というか世界が見える魅力というか、新たなる扉を開いてしまいそうだった。

賽の河原で踊りまくる「亡霊」

あのリズミカルなシーンを楽しみにしていたので、ど真ん中スペクタクル上演されていたので満足。乙プログラムのストリーミングでも違う配役があるので、再度ワクワクである。

配信は身近な人にもおすすめしたい所存だ!

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